安平町復興のシンボル
北海道南西部に位置する安平町は、名馬ディープインパクトを生むなど、サラブレッドの産地として知られるが、明治中期には、夕張炭鉱の石炭を港に運ぶ機関車の中継基地が置かれ、「鉄道のまち」として繁栄した。国鉄最後のSLが走っていた場所でもある。
こうした歴史にちなみ、2019年4月、同町に「道の駅あびらD51ステーション」が開業した。駅舎や機関庫をイメージした建物に鉄道資料館や蒸気機関車「D51 320号」を展示した。特産品の販売やベーカリーではご当地ソフトクリークが人気だ。敷地内には約34kWの太陽光パネルを設置し、平常時は需要のピークカット、非常時は蓄電池に充電して照明やパソコンなど重要な設備に利用できるようにしている(図1)(図2)。
オープン以来、わずか1年3カ月で来場者が100万人を超え、『北海道じゃらん』による道の駅満足度ランキングで2020年に道内8位、2021年に道内9位となった。
実は、「道の駅あびら」の建設が進んでいた2018年9月6日、「北海道胆振東部地震」が起きた。震源地域だった安平町は震度6強に見舞われ、3000戸以上の住宅が被害を受けた。町では、道の駅の開業を延期することも検討したが、むしろ、復興のシンボルとして位置づけて予定通りに開業した。町の新名所として見事にその役割を果たしている(図3)。