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福島産「太陽光水素」が照らした東京五輪・パラ(page 4)

浪江町のメガソーラーで大規模に水素製造、周辺でも活用進む

2021/09/07 05:00
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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都営の燃料電池バスでも利用

 このほか、東京都は、東京2020大会期間中、8月25日から9月7日までFH2Rで製造された水素を、都営バスで保有する燃料電池バス5台で活用するとともに、車体に浪江町の子供たちによるデザインを描いて、「福島産水素」の活用をアピールした。

 この取り組みに際しては、産業用ガスなど手掛ける巴商会(東京都大田区)が東京都江東区で運営する「新砂水素ステーション」にFH2Rからトレーラーで水素を搬送した。燃料電池バスは、同ステーションで水素を充填し、葛西駅前から錦糸町駅前間の運行系統などを走行した(図15)(図16)。

図15●「新砂水素ステーション」で充填する都営の燃料電池バス
図15●「新砂水素ステーション」で充填する都営の燃料電池バス
(出所:日経BP)
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図16●この日は約12kgの水素を充填した
図16●この日は約12kgの水素を充填した
(出所:日経BP)
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 東京都は、2019年5月に「ゼロエミッション東京戦略」を掲げ、2050年にCO2排出を実質ゼロにすることを宣言した。同戦略では、再生可能エネルギーの基幹電源化とともに再エネ由来の水素を脱炭素社会の柱にすることを想定している。

 東京2020大会を通じて、福島産の太陽光発電による水素の活用をアピールしたのは、こうした将来ビジョン実現に向けた布石とも言える。

 「新砂水素ステーション」を運営する巴商会は、通常、同ステーションの水素を昭和電工の工場から排出される副生水素を調達している。この水素は、使用済みプラスチック由来で相対的に環境負荷が低い。東京2020大会期間中は、都と連携してFH2Rから再エネ由来の水素を調達することで、さらに環境負荷の低い水素を提供した(図17)。

図17●「新砂水素ステーション」の蓄圧器。82Mpaに圧縮して水素を貯めている
図17●「新砂水素ステーション」の蓄圧器。82Mpaに圧縮して水素を貯めている
(出所:巴商会)
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