特集

福島産「太陽光水素」が照らした東京五輪・パラ(page 5)

浪江町のメガソーラーで大規模に水素製造、周辺でも活用進む

2021/09/07 05:00
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
印刷用ページ

周辺3施設の燃料電池に水素供給

 FH2Rで製造された再エネ水素の提供先として、東京2020大会期間中の都内水素ステーションは、あくまでスポットという位置づけで、再エネ水素の重要性をPRすることが主要な目的になる。というのは、水素を自動車で運搬するという仕組み上、浪江町から遠隔地になるほど、コスト的にも、環境負荷の点からも、不利になるからだ。

 継続的に水素を供給する需要設備は、極力、浪江町に近い地域を想定している。現在、定期的に供給しているのは、定置型燃料電池コージェネ用として、浪江町の「道の駅なみえ」、楢葉町にあるスポーツトレーニング・宿泊などの複合施設「Jヴィレッジ」、福島市にある「あずま総合運動公園」の3カ所、そして、2カ所のFCV向け水素ステーションになる。

 「道の駅なみえ」には出力3.5kW、「Jヴィレッジ」には700W、「あずま総合運動公園」には100kWの燃料電池コージェネがある。いずれも東芝エネルギーシステム製の純水素型で、水素を直接投入できる。水素の運搬・備蓄には出力の大きい燃料電池のあるあずま総合運動公園にはトレーラーを使うが、他の2施設には水素ボンベの集合体であるカードルで月に1~2回運んでいる(図18)(図19)。

図18●「道の駅なみえ」に設置された燃料電池コージェネシステム。右に据え付けられたカードル(赤色の箱)から水素を送る
図18●「道の駅なみえ」に設置された燃料電池コージェネシステム。右に据え付けられたカードル(赤色の箱)から水素を送る
(出所:日経BP)
クリックすると拡大した画像が開きます
図19●「Jヴィレッジ」に設置された燃料電池コージェネシステム。手前の囲いの中にカードルがあり、建物1階の窓近くにある燃料電池システム(小さく見える白い筐体)に水素を送っている
図19●「Jヴィレッジ」に設置された燃料電池コージェネシステム。手前の囲いの中にカードルがあり、建物1階の窓近くにある燃料電池システム(小さく見える白い筐体)に水素を送っている
(出所:日経BP)
クリックすると拡大した画像が開きます

 Jヴィレッジは、燃料電池システムのほか、複数の太陽光と小型風車を導入している。太陽光は、駐車場の屋根と一体化したカーポート型で151kW、敷地内の野立て型システムで40kWを設置しており、いずれも楢葉町に工場のあるアンフィニ製パネルを採用している(図20)。

図20●「Jヴィレッジ」に設置されたカーポート型太陽光発電。楢葉町に工場のあるアンフィニがパネルを供給した
図20●「Jヴィレッジ」に設置されたカーポート型太陽光発電。楢葉町に工場のあるアンフィニがパネルを供給した
(出所:日経BP)
クリックすると拡大した画像が開きます

 これら再エネと燃料電池システムの稼働状況は、施設の中心にあるセンターハウスの正面玄関を入って左手にあるデジタルサイネージで表示されている(図21)。

図21●「Jヴィレッジ」正面玄関に設置されたデジタルサイネージ
図21●「Jヴィレッジ」正面玄関に設置されたデジタルサイネージ
(出所:日経BP)
クリックすると拡大した画像が開きます
  • 記事ランキング