港の公園から見える洋上風力
秋田県の男鹿半島を挟み、北側に位置する能代港(能代市)と南側に位置する秋田港(秋田市)。この2つの港の港湾区域で、日本国内で初となる商業ベースでの大型洋上風力発電事業が進んでいる。
合計出力約140MW(一般家庭約13万世帯相当)の着床式洋上風力発電所と陸上送変電設備を建設・運転・保守し、完工後、20年間にわたって発電電力の全量を東北電力に固定価格買取制度(FIT)を利用して36円/kWhで売電する計画だ。
丸紅など13社が出資する特別目的会社(SPC)が事業主体となる。2021年内に風車の基礎部分の工事が完了し、2022年の年明けから、いよいよ風車の組み立てに入る。2022年末までに商業運転の開始を予定する。
同事業は、定格出力4.2MWの風車33基で構成する洋上風力発電所と、陸上送変電設備からなるウインドファーム(集合型風力発電所)だ。秋田港飯島ふ頭を基地港として、能代港に20基、秋田港湾に13基の風車を建設している。
洋上風力発電所の施工は鹿島・住友電気工業特定建設共同企業体(鹿島・住友電工JV)が担当しており、具体的には海底ケーブルの製造・工事を住友電工が、基礎部分の工事を鹿島建設が受け持つ形になっている。陸上送変電設備についてはきんでんが担当する(図1)。
この洋上プロジェクトは、港湾法に基づく長期占有許可で建設されるもので、再生可能エネルギー海域利用法によって沖合の一般海域に建設する洋上風力とは違い、風車を防波堤周辺の港湾内に配置する形となっている。水深は10~30mと比較的浅く、風車は着床式で、1本の杭を海底に打ち込んでその上に風車を設置する「モノパイル」形式を採用する(図2)。