特集

国内初の洋上ウインドファーム着工、港湾に33の基礎(page 2)

秋田港・能代港でSEP船が稼働、2022年に風車組み立て開始

2021/12/22 09:46
宇野麻由子=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
印刷用ページ

SEP船による工事を開始

 同事業は、2015年2月、秋田県が実施する「秋田港及び能代港における洋上風力発電事業者の公募」で丸紅が事業者として選定され、2016年4月に事業主体であるSPC「秋田洋上風力発電」を設立した。現在、同SPCについては丸紅に加えて大林組、東北電力、コスモエコパワー、関西電力、中部電力、秋田銀行、大森建設、沢木組、協和石油、加藤建設、寒風、三共の13社が出資している。

 株主からの出資金とメガバンクを中心に10以上の金融機関が参加するプロジェクトファイナンスによる借入金の合計で約1000億円を調達した。国内洋上風力発電事業向けのプロジェクトファイナンスとしても国内初の取り組みだ。

 同事業では2020年2月に陸上送変電設備の工事を開始。2021年1月から4月にかけては基礎部分を構成する「モノパイル」と「トランジションピース」をオランダ・ロッテルダムから5隻の船で輸送した。モノパイルとは30~40mほど海底面に根入れする鋼管杭で、オランダの鋼管メーカーでモノパイル大手のSif社製のものを採用した。トランジションピースとは、風車のタワー(支柱)とモノパイルを接続する部分で、ベルギーの鋼構造物メーカーであるSmulders社製を採用した。

 2021年5月に、「SEP船」を使った基礎工事を開始した。SEP船とは自己昇降式台船(Self Elevating Platform=SEP)のことで、4本の脚を海底に固定させて船体を持ち上げることで、波の影響を受けずにクレーン作業などが行える船を指す。

 今回は、英国の洋上風力据え付け大手Seajacks International(シージャックス)のクレーン能力800t吊級SEP船「Zaratan号」を用いた。シージャックスは2012年に丸紅が出資しており、同年に竣工したZaratan号は約10年間、欧州の洋上風力発電所建設現場で活躍、船員などを含めた欧州での経験を生かすべく本プロジェクトに投入された。自国の内航海運は自国船に限るというカボタージュ制度に対応するべく、同船は日本船籍を取得して今回の作業に当たっており、日本船籍取得などには商船三井が協力している(図3)。

図3●2021年5月にSEP船による洋上基礎工事に本格着工し、同年9月に完了した
図3●2021年5月にSEP船による洋上基礎工事に本格着工し、同年9月に完了した
(出所:秋田洋上風力発電)
クリックすると拡大した画像が開きます
  • 記事ランキング