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国内初の洋上ウインドファーム着工、港湾に33の基礎(page 3)

秋田港・能代港でSEP船が稼働、2022年に風車組み立て開始

2021/12/22 09:46
宇野麻由子=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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基礎の打設は日中に限定

 各風車の基礎となるモノパイルは、地盤調査の結果に基づき設置場所ごとに長さや重さがそれぞれ異なる“オーダー品”だ。水深が深い地点ではモノパイルの重量が大きいため、起重機船を併用してモノパイルを運び作業したという。

 SEP船でのモノパイルの打ち込み(打設)作業には、油圧ハンマーを用いる。欧州では24時間、昼夜問わず打設作業するのが一般的とされる。とにかく天候状況が良いときにできるだけ作業を進めるのが常識というわけだ。

 ところが秋田では、打設時に生じる金属音に対して地元住民から意見があった。今回は日本で初めての洋上ウインドファーム建設であり、場所も陸地に近い。地元住民への配慮は重要であり、風評が生じれば今後の洋上風力事業にも影響する。コストとしては数千万円~数億円のインパクトになるものの、苦渋の決断により、打設作業は日中だけに限定して実施した。

 陸上と比べると、海上での工事はちょっとした修正作業でも難易度が上がり、対応に時間がかかる。現場に生じる問題を克服しながら、モノパイルとトランジションピースを重ね、すき間にグラウト材を流し込んで固定する作業を終え、海底部の洗堀防止工事も実施した。洗堀防止とは、構造物周辺の地盤が潮流などによって流されてしまうことを防止するもので、地元石材を活用している。こうした基礎工事は2021年9月に完了した。

 2021年12月には、タワー、ナセル(発電機などを格納したタワー上の筐体)、ブレード(羽根)といった風車部材の搬入を開始した。いよいよ2022年からは、建設工事の最終段階とも言える風車の組み立てが始まる。今回、風力発電設備にはデンマークのヴェスタス(Vestas Wind Systems)製の出力4.2MWモデルを採用する(図4)。

図4●2021年12月に風車部材であるタワー11本を積載した第1船が中国・太倉港から秋田港に到着した
図4●2021年12月に風車部材であるタワー11本を積載した第1船が中国・太倉港から秋田港に到着した
(出所:秋田洋上風力発電)
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 まずは陸上で2パーツに分割されているタワー部分を組み立て、海上に運んで基礎にタワーを取り付ける。そこに、増速機やブレーキ装置、発電機などを収納するナセルを取り付け、さらにブレードを1枚ずつ取り付けていく計画だ。こうした風車の施工(据え付け)は2022年4~9月に予定している。据え付け後は順次、法定審査を受け、2022年12月には操業開始を予定する。

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