特集

「太陽光・風力の急増で、系統蓄電池によるサービス事業が拡大へ」、日本工営の秋吉副社長に聞く(page 2)

日系企業5社、英国で合計100MWのプロジェクトを開始

2022/01/27 19:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
印刷用ページ

英国では1.25GWが系統に連系

――日本でも太陽光が急増している中、なぜ、英国で系統蓄電池に投資するのですか。

秋吉 英国では、太陽光と風力を合計した変動性再生可能エネルギー(Variable Renewable Energy:VRE)の電源構成に占める割合が、すでに26%程度に達しています。これに対し、日本のVRE比率は、増えたといってもまだ9%程度です。

 IEA(国際エネルギー機関)は、VREの比率による電力系統へのインパクトを分析しており、20%を超えると、系統運用の安定性が問題になり、エネルギー貯蔵技術の必要性が高まると予測しています。英国では系統蓄電池の導入量がすでに1.25GWに達し、この分野で世界をリードしていますが、その背景には、VRE比率の高さがあります。

 英国では、系統の安定運用をサポートする各種電力市場が創設されており、系統蓄電池の事業性が高まっています。こうした制度面の進んでいる地域で、系統蓄電池の制御ノウハウなどの経験を積むことが大きな狙いです。

日本工営の秋吉博之・代表取締役副社長
日本工営の秋吉博之・代表取締役副社長
(撮影:清水盟貴)
クリックすると拡大した画像が開きます

――日本工営は、「系統蓄電池」にどんな形で取り組んできたのですか。

秋吉 もちろん、いきなり100MWの事業を始めるわけではありません。英国では、まず2017年10月と2018年2月に系統蓄電池によるサービス事業に出資しました。6MWと4MWの蓄電池システムです。2018年に投資したプロジェクトでは、日本工営の開発したエネルギー管理システム(EMS)を蓄電池システムに納入しました。

 2018年6月には、ベルギーのアグリゲーターであるYUSOと提携して蓄電池事業の開発を目指し始め、同年12月には、同社に出資しました。2019年には9MWの蓄電池システム2件のEPC(設計・調達・施工)サービスを手がけました。

 こうした実績を背景に2018年12月、オランダ・ロッテルダムにNippon Koei Energy Europe(NKEE)を設立し、ここを拠点に、アンシラリーサービス事業など系統蓄電池による事業開発や建設、投資案件の発掘に乗り出しました。

 今回、発表した約50MWの蓄電池システム2件、合計約100MWの系統蓄電池によるサービス事業は、もともと英企業が開発し始めたプロジェクトを引き継ぎ、こうした事業に必要な技術やノウハウを持った日系企業に声をかけました。東芝三菱電機産業システム(TMEIC)、芙蓉総合リース、テスホールディングス、東京センチュリーと共同出資で進めています。2021年12月に着工し、2023年初頃の商用運転を目指します。

 NKEEがプロジェクト開発からEPCサービス、運営を担当し、設備面では、TMEICが蓄電池と蓄電池用パワーコンディショナー(PCS)などの蓄電池システムを構築し、日本工営が制御システムを供給します。実際の運用では、卸電力市場やアンシラリー市場など各種市場とのやり取りは、出資しているアグリゲーターのYUSOが担当します。

 50MWの蓄電池システムを2カ所というのは大きなプロジェクトですが、米加州では1サイトで300MW、オーストラリアでも1サイトで150MWの系統蓄電池が稼働中など、世界ではさらに大容量化が進んでいます。TMEICは、日本国内では最大となる約50MWの蓄電池システムを北海道で構築するなど実績があります(図2)(関連記事:八雲町に姿を現した国内最大の「蓄電池併設メガソーラー」)。

図2●共同出資する東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が構築した出力52.5MWの蓄電池システム。北海道八雲町にある約100MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)に併設したもので、定置型蓄電池としては国内最大
図2●共同出資する東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が構築した出力52.5MWの蓄電池システム。北海道八雲町にある約100MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)に併設したもので、定置型蓄電池としては国内最大
(出所:日経BP)
クリックすると拡大した画像が開きます
  • 記事ランキング