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「太陽光・風力の急増で、系統蓄電池によるサービス事業が拡大へ」、日本工営の秋吉副社長に聞く(page 4)

日系企業5社、英国で合計100MWのプロジェクトを開始

2022/01/27 19:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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火力の「慣性力」も蓄電池が提供

秋吉 英国の系統蓄電池がサービスを提供できる市場には、充放電のタイミングが長い順に、容量市場、卸取引市場、需給調整市場、アンシラリー市場があり、短時間のサービスになるほど、収益性が高くなっています。英国では、2020年10月から、従来のアンシラリー市場に加え、DC(Dynamic Containment=動的封じ込め)市場がスタートし、これは火力発電所の持つ慣性力(周波数を維持する機能)を補う役割を持ち、瞬時に応答する機能を提供します。最近では、英国の系統蓄電池事業にとって、このDC市場が最大の収益源になっています。充放電が短くなるほど、価値が高いのは、それだけ高度な技術が必要になるからです。

 アグリゲーターは、これらの市場の動きを読みつつ、その時々で最も収益性の高い市場を選んで、蓄電池を運用することになります。こうしたノウハウは、資本提携しているYUSOとともに実際に運用する中で学んでいきたいと思います。

 英国では2016年に系統蓄電池によるサービスが始まり、2017年には200MWを超える蓄電池が参入し、順調に収益を上げました。これを見て2018年にはサービスを提供する蓄電池が450MWを超え、過当競争から収益が下がりました。しかし、2019年以降、サービス提供できる市場が増えるとともに、太陽光・風力の増加で各市場の規模が大きくなったため、系統蓄電池は1GWを越えましたが、安定的に収益を出しています。

 こうした英国の系統蓄電池を巡る市場環境の変遷を見ると、一時的に過当競争になりつつも、太陽光・風力の急増と、それに対応して系統安定化のための各種市場が立ち上がっていくことで、系統蓄電池によるサービス市場は着実に伸びていくことが分かります。これと並行して蓄電池の技術革新でコストが低下していくことが予想されます。

 日本では、現時点で卸取引市場による売買だけでは系統蓄電池の事業性はありませんが、2021年度からの調整力市場の運用開始に加え、2024年度からは容量市場の運用が始まります。このあたりから、系統蓄電池の市場性が出てくると見ています。

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