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「太陽光・風力の急増で、系統蓄電池によるサービス事業が拡大へ」、日本工営の秋吉副社長に聞く(page 5)

日系企業5社、英国で合計100MWのプロジェクトを開始

2022/01/27 19:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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「ゼロエミ火力」より低コスト

――日本工営としては、系統蓄電池でどんなビジネスモデルを想定していますか。

秋吉 日本工営は、蓄電池システム自体は手掛けていませんが、全体を制御するシステムを開発し、サービス事業の開発から、EPCサービス、そして運営まで一気通貫で担えます。英国のプロジェクトでは、出資者としてサービス事業を行いますが、今後は、投資家としての立ち位置よりも、周辺ビジネスを担うことで、コンサルティングやエンジニアリングなど、本業の1つとして拡大していくイメージを持っています。

 「系統蓄電池」といっても、日本ではまだほとんど知られていませんが、ブルームバーグの予測では、2030年には全世界で出力358GW、容量1028GWhもの設備が導入される見込みです。市場としては、米国と中国で半分以上を占め、インド、オーストラリア、英国、ドイツ、そして日本が有望市場とされています。

 先行する英米では、すでに1GWを超えており、両市場では今後わずか4年で10倍の導入量になると予想されています。エネルギー業界では、2020年代を「エネルギー貯蔵の10年」になるとの見方もあります。

――日本では、太陽光・風力の急増に伴う系統安定化対策として、水素やアンモニアを燃料に使った火力発電で需給バランスを維持する手法が期待されています。こうした「ゼロエミッション火力」は、系統蓄電池の役割を抑制する可能性もあります。

秋吉 カーボンニュートラルと水素・アンモニア利用を両立するには、再生可能エネルギーで製造した水素を起点とするか、化石資源由来の水素の場合、CCS(CO2の分離・回収・固定)が前提になります。いずれにしても海外でこうしたCO2フリー水素・アンモニアを製造して日本に運んできた場合、コストはかなり高くなるはずです。

 電力会社がこうした燃料を増やした場合、火力の発電コストが上がりますし、アンシラリー市場や需給調整市場にゼロエミション火力が参加した場合、今後、継続的に導入コストの下がっていく系統蓄電池に入札で勝てないでしょう。

 世界的に太陽光・風力の出力変動を系統蓄電池で補完していく電力システムが主流になっていくなか、太陽光・風力発電、そして蓄電池システムは、巨大な量産効果でさらにコストが下がっていくことは確実です。日本だけが「ゼロエミション火力」を推進しても、そのコスト削減には限界があると思います(関連記事:「系統蓄電池に求められる高速制御、0.5秒の応答性を実現」、TMEICの澤田執行役員に聞く)。

日本工営の秋吉博之・代表取締役副社長
日本工営の秋吉博之・代表取締役副社長
(撮影:清水盟貴)
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