特集

北九州市、「再エネ水素」の製造・運用を実証(page 4)

IHI、太陽光・風力・ごみ発電から低コストで水素製造

2022/03/03 05:00
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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水素はカードルで運搬

 「ゼロエミ交通システム」では、電気バスが響灘地区まで定期的に走ってきて、急速充電するという運用だったが、「CO2フリー水素製造・供給実証」では、製造した水素を13MPaで圧縮してカードル(水素ボンベの集合体)に150m3貯め、トラックで北九州市、福岡市、久留米市にある水素ステーションまで輸送する。

 北九州市東田地区の水素ステーションに運ばれた水素の場合、FCVへの充填に加えて、水素パイプラインを通じて、副生水素に混ぜて「北九州水素エコタウン」内の施設にある定置型燃料電池システムに供給されることになる(図9)(図10)(図11)。

図9●製造した東田地区の水素ステーションに運び、ここからパイプラインで実証住宅などに供給する
図9●製造した東田地区の水素ステーションに運び、ここからパイプラインで実証住宅などに供給する
(出所:日経BP)
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図10●「水素タウン」の実証住宅に設置された燃料電池システム
図10●「水素タウン」の実証住宅に設置された燃料電池システム
(出所:日経BP)
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図11●東田地区の博物館に設置された燃料電池システム
図11●東田地区の博物館に設置された燃料電池システム
(出所:日経BP)
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 今回の実証では、連続して稼働させるのではなく、毎月、1週間程度稼働して150m3の水素を製造し、実証期間全体で約1800Nm3程度を製造する予定という。

 製造する水素の量はそれほど多くないものの、天候によって出力の変動する太陽光と風力、焼却する量で発電量の変わるごみ発電という、出力特性の異なる3つの電源を使い、水電解装置で効率よく水素を製造する、という課題に取り組む。

 ごみ発電は、託送供給のため、供給量が短時間で大きく変動することはないが、自営線でつながっている太陽光と風力の電気は、天候次第で出力変動が激しくなる。固体高分子型の水電解装置は相対的に応答性に優れるものの、対応力に限界もある。そのため、今回は、水素製造装置に50kWの蓄電池を組み込み、短周期の出力変動をある程度、緩和させている。

 また、ごみ発電から調達する電気については、卸電力市場の相場などによって電気の価値が変動するため、低価格の時間帯にうまく調達することが求められる。太陽光・風力の電気を無駄にせず、安いごみ発電の電気を使うことなど、「水電解活用型エネルギーマネジメントシステム」を改善していく。実証を通じて「CO2フリー水素」を低コストで製造・供給できるモデルを構築することを目指す(図12)。

図12●IHIが水素製造設備の全体システムを制御する
図12●IHIが水素製造設備の全体システムを制御する
(出所:日経BP)
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 IHIは、福島県相馬市の「そうまIHIグリーンエネルギーセンター」で太陽光と蓄電池、水電解装置を利用したエネルギーマネジメントシステムの開発・運用で実績がある。北九州市のプロジェクトでも、同センターの知見が活用できるという。

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