FITで再エネが2倍以上に
隠岐諸島は、本土から約50kmの日本海に浮かぶ離島で、4つの大きな島からなる。最も大きな島を島後(どうご)、西南の3島を島前(どうぜん)と呼ぶ。これらを合わせた総面積は350km2で、約1万9600人が暮らしている(2020年3月現在)。
島の産業は農水産のほか、「ユネスコ世界ジオパーク」に認定されている貴重な地質資源や2人の天皇が流れ着いた歴史など、観光資源も豊富で訪れる人も多い。
本土の送電網とはつながっていない独立系統で、島後に出力約25.3MW、島前に約7.3MWの2カ所の火力発電所(ディーゼルエンジン発電機)がある。電力需要のピークは、かつて約28MWだったが、人口減少などにより、ここ数年は約24MWになっている。年間の最小需要も10MW程度まで減っている(図4)。
一方、再生可能エネルギーは、固定価格買取制度(FIT)スタート前から風力(1.8MW)と水力(0.3MW)、住宅用太陽光(0.8MW)を合わせ約3MWが稼働しており、FITによって2つのメガソーラー(合計3MW)と風力発電(2MW)が稼働したことで、約8MWに達している。だが、2022年5月時点で、出力制御(出力抑制)は一度も実施していない。
実は、さらにメガソーラーと住宅用太陽光が連系申し込み済みで、合計2.5MWの再エネが新規に増加する。これらを加えると隠岐諸島の再エネは約11MWまで拡大する見込みで、中国電力ネットワークはこれを受け入れる方針だ。最小需要を超える再エネ設備の接続を可能にしているのが、実証事業で導入した大型蓄電池の存在だ。