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隠岐に見る「系統用蓄電池」の実際と成果、再エネ・出力抑制を回避(page 3)

短・長周期変動を緩和、最小需要を上回る再エネを受け入れへ

2022/05/17 05:00
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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隠岐では「出力制御」回避

 そもそも現在の再エネ導入量である8MWの水準でも、大型蓄電池がなければ、すでに出力制御が必要になっているとみられる。

 というのは、系統運用では、再エネの出力増に合わせて、火力発電の出力を落としていくが、出力低下の度合いには限界がある。運用上、ディーゼルエンジン発電機の定格出力に対して部分負荷運転は50%が限界とされている。それ以上に下げると、仮に再エネ出力が急低下した場合にスムーズな出力アップが難しくなったり、機械的に不具合が起きやすくなったりするなどの問題が出てくる。

 隠岐諸島の系統では、火力発電の昼間での最低出力は運用上、5~6MWなので、昼間最小需要である約10MWとなった場合、再エネは残りの4~5MWしか活用できない。すでに約8MWの太陽光・風力が稼働中なので、晴天で風が吹けば、容易に5MWを超えてしまう。その場合、出力制御指令を出して、再エネ事業者に出力抑制を依頼することになる。

 そうなっていないのは、出力4.2MW、容量25.2MWhのNAS電池で、こうした需給ギャップをカバーしているからだ。大型蓄電池で長周期変動に対応している効果だ。

 実は、隠岐諸島と同様、本土と独立した系統を運用する長崎県の壱岐島では、すでに出力制御が頻繁に実施されている。壱岐島の昼間最小需要は約13MW(2011年度)で、FITによって約8MWの太陽光が連系した2016年から九州電力が出力制御を実施している。壱岐島には、2012年度に出力4MW、容量1.6MWhの系統用蓄電池が導入されたが、これは短周期変動対策が目的で容量が少ないため、時間単位の需要の平準化には利用できない。

 再エネに対する出力抑制に関し、隠岐諸島と壱岐島の明暗を分けているのは、蓄電池を活用した長周期対策の有無といえる(図5)(図6)。

図5●長周期変動対策で使われる日本ガイシ製のNAS電池
図5●長周期変動対策で使われる日本ガイシ製のNAS電池
(出所:日経BP・2016年に撮影)
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図6●NAS電池を充放電制御するTMEIC製PCS
図6●NAS電池を充放電制御するTMEIC製PCS
(出所:日経BP・2016年に撮影)
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