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隠岐に見る「系統用蓄電池」の実際と成果、再エネ・出力抑制を回避(page 4)

短・長周期変動を緩和、最小需要を上回る再エネを受け入れへ

2022/05/17 05:00
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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火力と蓄電池を協調制御

 隠岐諸島のハイブリッド蓄電池システムが、長周期変動と短周期変動に見事に対応している様子は、中国電力ネットワークが実証の効果として公表した2018年4月22日の蓄電池と火力発電(内燃力)の協調制御例を見るとよくわかる。

 この日は、空調需要がない春季の昼間最小負荷期にあたり、昼の総需要は約11MW、それに対して、供給側は、10時から12時頃まで太陽光を主体にした再エネ出力が6MW程度まで伸びた。再エネの出力上昇に応じて火力発電の出力を7MW程度まで落としつつ、余剰電力である約2MWをNAS電池に充電することで、需給をバランスさせた。

 NAS電池に充電した電気は、夕方の需要ピーク時間帯に放電することで、火力の出力を抑えつつ、翌日の余剰電力に備えて空き容量を確保するような運用になっている。

 一方、短周期変動に対応するリチウムイオン電池の運用は、周波数変動を打ち消すように、充放電を繰り返しつつ、周波数の変動幅を、60Hzを基準に一定の偏差に収めることに成功している(図7)。

図7●2018年4月22日における蓄電池と火力発電の協調制御例
図7●2018年4月22日における蓄電池と火力発電の協調制御例
(出所:中国電力ネットワーク)
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 また、2018年10月29日の協調制御例を見ると、午前中に晴れから曇り、午後には雨と天気が急変した場合でも、長周期と短周期の変動に機敏に対応して充放電を行い、需給バランスを維持しつつ、周波数を既定の範囲内に維持していることが分かる。

 この日、日中の需要は11~12MW程度、供給側は、午前中に太陽が雲間を見え隠れするような状況で、太陽光発電の出力が激しく変動した。この間、火力は7MW程度まで出力を落とし、NAS電池は充電制御、短周期変動に対応するリチウムイオン電池は、小刻みに大きく充電と放電を繰り返しつつ、周波数変動を抑制している。

 午後には雨となり太陽光発電の出力が急低下したため、火力発電が10MW程度まで出力アップ、同時にNAS電池も放電側に転換している。太陽光発電の割合が大きくなった場合、天候の急変にいかにスムーズに対応するかが大きな課題だが、火力発電と蓄電池の協調制御でうまく乗り切っている(図8)。

図8●2018年10月29日における蓄電池と火力発電の協調制御例
図8●2018年10月29日における蓄電池と火力発電の協調制御例
(出所:中国電力ネットワーク)
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