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隠岐に見る「系統用蓄電池」の実際と成果、再エネ・出力抑制を回避(page 5)

短・長周期変動を緩和、最小需要を上回る再エネを受け入れへ

2022/05/17 05:00
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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火力の焚き減らしでCO2削減

 中国電力ネットワークは、実証期間中の周波数の変動状況を公表している。それによると、60.0Hz近傍に制御された割合は、蓄電池導入前には20%程度だったのに対し、蓄電池導入後には、再エネが2倍以上、連系したにもかかわらず60%近くまで増えている。周波数の安定度合いが格段に高まっている(図9)。

図9●周波数の滞在時間分布
図9●周波数の滞在時間分布
(出所:中国電力ネットワーク)
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 また、2018年度における蓄電池導入によるCO2削減効果は、年間で約6100tと試算している。これは、NAS電池による長周期変動の緩和に伴い、太陽光と風力の余剰電力を貯めておき、需要ピーク時に放電して火力発電の燃料を節約した効果になる。

 今後、島内の再エネ設備量が、11MWまで増えた場合、こうしたCO2削減効果は、年間で8800tまで増加すると試算している(図10)。

図10●CO2排出量の削減効果
図10●CO2排出量の削減効果
(出所:中国電力ネットワーク)
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 NAS電池とリチウムイオン電池を併用した効果に関しては、導入時と運用時の両方に利点があるという。導入費用を比較すると、出力(kW)当たりの単価の安さではリチウムイオン電池に、容量(kWh)単価の安さではNAS電池に優位性があったため、すべてNAS電池にするケースに比べ、導入コストを約25%節約できたという。

 また、運用面では、NAS電池の場合、つねに300度程度にヒーターで加温する必要があるため、所内電力を多く消費してしまう。リチウムイオン電池の併用でNAS電池の容量を減らせたことで、所内電力の消費を約30%削減できたという。

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