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アストラゼネカが再エネ活用で「進化」、米原工場でメガソーラー稼働

太陽光を全量自家消費、環境価値と合わせて再エネ100%

2022/06/14 21:00
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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2025年までに「ゼロカーボン」

 滋賀県米原市にあるアストラゼネカの工場では、敷地内に野立てのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を設置し、今年4月15日から稼働を開始した。正門を入って、玄関の前を進むと、北側の平地に真新しい太陽光パネルが整然と並んでいる(図1)(図2)。

図1●アストラゼネカ米原工場の敷地内に設置された1.76MWの太陽光発電設備
図1●アストラゼネカ米原工場の敷地内に設置された1.76MWの太陽光発電設備
(出所:日経BP)
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図2●工場の玄関には太陽光発電設備の出力状況をリアルタイムで表示
図2●工場の玄関には太陽光発電設備の出力状況をリアルタイムで表示
(出力:日経BP)
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 アストラゼネカは、日本政府が調達した新型コロナウイルス用ワクチンを製造した製薬会社の1社として知られる。英ケンブリッジに本社を置き、世界100カ国以上に拠点を持つ。1999年にスウェーデンのアストラと英ゼネカが合併して誕生した。

 日本での事業規模も大きく、日本法人のアストラゼネカ(大阪市)の従業員は約3400人で、製品売上高は、34億9800万ドル(2021年度)に達し、国内製薬業界で第3位に位置する。米原市の工場では、薬品の小分け製造、包装、品質管理を行っている。

 欧州でも環境政策をリードする英国とスウェーデンを発祥とするだけに、環境問題には熱心で、2025年までにグローバルで事業からのCO2排出量ゼロを目指すプログラム「アンビション・ゼロカーボン」を掲げている。さらに、2030年までにバリューチェーン全体で、CO2排出削減量が排出量を上回る「カーボンネガティブ」を目指している。

 アストラゼネカでは「アンビション・ゼロカーボン」達成のため、グローバル規模で最大10億ドルを投資し、再生可能エネルギーへの転換や省エネを進めている。日本では、すでに2020年に国内事業所と工場の消費電力について、J-クレジット制度による再エネ由来の環境価値(クレジット)を購入することで、カーボンオフセット(CO2排出の相殺)を実現した。

 さらに2021年には、東京都内にあるオフィスの使用電力を実質再エネ電気に切り替えた。これは、固定価格買取制度(FIT)を利用せず環境価値のある非FITの再エネ電気を調達した、いわゆる「生グリーン電力」になる。エネットの電力メニューを東京ガスエンジニアリングソリューションズが取り次いだものだ。

 こうした形での再エネ電気の調達は、従来、ビルや工場単位が一般的だったが、オフィスビルのテナント単位での利用を実現した点で先進的な取り組みになる(図3)。

図3●東京オフィスに導入した再エネ電力のスキーム
図3●東京オフィスに導入した再エネ電力のスキーム
(出所:アストラゼネカ)
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