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浪江町で「太陽光水素」供給ネットワーク、大林組が実証

圧縮水素による地域内での搬送をAIで効率化

2022/07/12 12:00
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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開所式に安倍元首相も出席

 再生可能エネルギーから水素を製造する施設としては世界最大級となる「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」が福島県浪江町に完成して約2年、製造した水素は都内に運ばれ、東京オリンピック・パラリンピックの会場で使われたが、ここにきて周辺地域に供給・利用する水素供給ネットワークの構築が進んできた。

 FH2Rは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、東芝エネルギーシステムズ、東北電力、東北電力ネットワーク、岩谷産業、旭化成を主体に建設された実証施設。メガソーラー(大規模太陽光発電所)の電力を使い、水を電気分解して水素を製造する(図1)。

図1●「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」
図1●「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」
(出所:日経BP)
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 2020年3月に開催されたFH2Rの開所式では、安倍首相(当時)も出席していた。7月8日に亡くなった故・安倍元首相の功績としては、アベノミクスなど経済対策や外交政策が上げられることが多いが、環境政策でも第1次安倍内閣時代に、その後、主流となる脱炭素の方向性を敷いた。2007年に「クールアース50(美しい星50)」ビジョンを掲げ、2050年に温室効果ガス半減を目指す長期目標を国際社会に提案した。

 その後、第2次安倍内閣を引き継いだ菅前首相が「2050年・カーボンニュートラル」を宣言したが、脱炭素への筋道として期待される「再エネによる水素製造」を実現する技術開発では、すでに安倍内閣時代に布石が打たれていた。その象徴がFH2Rだ。

 FH2Rの開所式に出席した安倍元首相は、祝辞の中で、「浪江町に完成した研究施設は、水素に関する世界最大のイノベーション拠点になる」と、期待感を示していた(図2)。

図2●開所式では安倍元首相が祝辞を述べた
図2●開所式では安倍元首相が祝辞を述べた
(出所:日経BP)
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 FH2Rには、出力20MWものメガソーラーのほか、定格出力6MW、最大消費電力10MWの大規模な水素製造装置があり、定格運転時で毎時1200Nm3の製造能力がある。これは燃料電池車560台を充填できる水素量に相当する。

 水素製造装置は旭化成製のアルカリ水電解方式、太陽光パネルは東芝とアンフィニ製、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製など、主要設備に国内メーカー製を採用していることも特徴的だ(図3)(図4)(図5)。

図3●旭化成製のアルカリ水電解方式の水素製造装置
図3●旭化成製のアルカリ水電解方式の水素製造装置
(出所:旭化成)
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図4●太陽光パネルは東芝とアンフィニ製
図4●太陽光パネルは東芝とアンフィニ製
(出所:日経BP)
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図5●パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
図5●パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
(出所:NEDO)
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