「太陽光パネル新税」、美作市議会で継続審査、来年度導入に暗雲

2019/06/28 17:16
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

 岡山県の美作市議会は6月25日、市が導入を目指している「太陽光パネル新税」に関する条例案について、「継続審査」として定例会を閉会した。市では、2020度からの導入を想定して準備を進めてきたが、日程上、難しい情勢になってきた。

 「太陽光パネル新税」は、地方税法に基づく法定外目的税で、事業用太陽光発電所のパネル設置面積に応じ、発電事業者に課税するもの。具体的には、パネル1m2当たり50円を2020年度から10年間、課税する構想を掲げている。課税対象は、出力10kW以上の野立てタイプの事業用太陽光発電所で、建築物の屋根上に設置した太陽光パネルは含まない。 税収は年間で約9000万円を見込んでいる。

 仮に導入されれば全国で初めてとなり、他の地方自治体にも広がる可能性が高いことから、注目を集めている。

 今回、美作市議会で「継続審査」となったのは、法定外目的税を新設する際に必要とされている「特定納税者から意見書」が提出されていないため、議員から「意見書の内容を踏まえないと審議できない」との声があったからという。

 「特定納税者」とは新税の導入によって納付額の10分の1以上を継続的に納入する事業者を指す。今回の場合、同市で複数のメガソーラーを稼働・開発しているパシフィコ・エナジー(東京都港区)に対して、意見書の提出を求めている。実は、同社は、意見書の提出に先駆け、すでに5月に市に対して「質問書」を提出していたが、市側は、この質問書に対して回答していない。このため、パシフィコ・エナジーは、質問に対する回答を踏まえて、議会に対して意見書を提出したいと申し入れていた。

美作市内で稼働するメガソーラー
(出所:日経BP)
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自民党・再エネ議連も「反対」に動く

 議会でも、「特定納税者からの事前質問に、市側がまだ回答していない」ことが、問題となった模様だ。このため、今後、質問に対する回答を市がパシフィコ・エナジーに示したうえで、同社が意見書を提出し、委員会の検討を経て臨時議会か9月定例会で審議することになる。

 法定外目的税の実現には、関連条例を議会で可決した上で、総務大臣の同意を得ることが必要。2020年度から導入するためには、2020年1月1日には手続きが完了している必要がある。総務大臣の審査には3カ月程度を要することを考慮すると、2020年度からの新税導入は日程的に不可能ではないものの、ほとんど余裕がない状況になっている。

 美作市の「太陽光パネル新税」構想に関しては、太陽光発電協会(JPEA)が6月20日、同協会が掲げる国内の太陽光発電の稼働設備容量200GWという目標達成の足かせになり、国と地域にもたらされる便益にも影響するとして、反対する立場を表明した。

 また、自由民主党の再生可能エネルギー普及拡大議員連盟も、政府として慎重に対応することを求める要望書を6月25日に菅義偉官房長官に手渡している(関連記事:美作市、「太陽光パネル新税」の導入目指し、議会に条例案提出へ)。