九州の出力制御に「経済的手法」も、オンライン制御の代替に採用

2019/07/05 20:35
金子 憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

 経済産業省は7月5日、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会を開催し、今後の出力制御のあり方を議論した。これまで出力制御(出力抑制)を見送っていた500kW未満の事業用太陽光に対し、自主的なオンライン制御装置の導入を促すとともに、「経済的手法」を採用する方向が示され、委員全員から了承された。

 経産省は、今年4月の新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループ(WG)で、「当面は出力制御の対象外」と整理していた旧ルール下で接続した500kW未満の事業用太陽光(出力10kW以上)についても、出力制御の対象とすることを公表していた。

 九州電力管内では、この措置により、出力制御の対象となる太陽光発電所が、現在の約2.6万件(471万kW)から約9.1万件(682万kW)に、新たに6.5万件(211万kW)も増える。

 ただ、旧ルール下で接続した500kW未満の事業用太陽光発電設備には、オンラインの出力制御装置の設置を義務付けられないため、実際の出力制御の運用では、発電事業者がサイト現場を訪れるか、遠隔操作で9~16時まで稼働を停止するか、電力会社によるオンライン制御を可能とする装置の自主的な導入を促すことになる。

 1事業者が多数の案件を運用する50kW未満の事業用低圧案件の場合、事業者の手動による停止・再稼働は現実的でない。そこで、経産省では、新ルール下で接続した太陽光設備と同様にオンライン制御装置を導入することを推進する。しかし、装置の導入に応じない事業者が続出することも予想されるため、「経済的手法」による出力制御も採用することにした。

 出力制御の「経済的手法」とは、実際に出力制御を行うサイトと発電量(売電量)を減少させるサイトを別々にする仕組み。具体的には、パワーコンディショナー(PCS)を停止して出力を抑制する事業者はオンライン制御の可能な大規模サイトを中心とし、事後的に全出力制御対象サイトの経済損失が均等になるように調整するというイメージだ。

「オンライン」か「経済的手法」か、を選択

 経産省では、「旧ルール500kW未満・事業用太陽光」に対する出力制御の具体的なスケジュールについて公表していないが、今後1~2年かけて、「経済的手法」で必要になる逸失利益の算定方法などを決め、「旧ルール500kW未満・事業用太陽光」には、電力会社によるオンライン制御か、経済的手法を選択できる形にして、出力制御を実施する方針だ。

 同省の試算では、九電管内で「旧ルール500kW未満・事業用太陽光」にも制御対象を拡大した場合、発電所当たりの制御日数は、現在の年間8.5日が5.9日に約3割減ることになり、事業者間の公平性が高まるとともに、新規連系する事業者にとっても出力制御の機会が減少することで、さらなる太陽光の導入にもプラスとしている。

旧ルール下で接続した500kW未満の事業用太陽光を出力制御対象に加えた場合の制御機会低減効果
(出所:経産省)
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 また、経産省は旧ルール下で接続して稼働している500kW以上の高圧配電線か、特別高圧送電線に連系している大規模案件に関しても、オンライン制御への移行を促す方針で、すでにほぼ移行済みの特高案件に続き、高圧案件への制御装置の導入を促す。

 同省によると、九電管内で現在、出力制御の対象になっている約478万kWのうち、オンライン制御は172万kWに留まる。オンライン制御の場合、出力制御の当日解除も可能なことから、出力制御量の減少につながり、試算では全対象案件がオンライン制御になった場合、必要な制御量は約3割、減少するとしている。

オンライン制御とオフライン制御のイメージ
(出所:経産省)
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