ニュース

東大、ペロブスカイト太陽電池で世界最高効率を達成

2019/07/08 00:49
工藤宗介=技術ライター
印刷用ページ
3直列ペロブスカイト太陽電池ミニモジュール
(出所:東京大学)
クリックすると拡大した画像が開きます
3直列ペロブスカイト太陽電池ミニモジュールの製作手順
(出所:東京大学)
クリックすると拡大した画像が開きます
ペロブスカイト太陽電池モジュールの性能比較
(出所:東京大学)
クリックすると拡大した画像が開きます

 東京大学は7月4日、3直列のペロブスカイト太陽電池ミニモジュール(2.76cm2)で変換効率20.7%を達成したと発表した。これまでペロブスカイト太陽電池の直列モジュールの変換効率は18%台にとどまっており、今回の成果が現時点で世界最高効率になるという。

 太陽光発電の低コスト化に直結する成果であり、今後同技術をNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトに参画する企業に移転して実用化を進めていく。

 有機金属ハライドペロブスカイト太陽電池(PSC)は、作製プロセスの容易さと結晶シリコン太陽電池に迫る光エネルギー変換効率から、近年世界的に活発に研究・開発が行われている。しかし、I-Vヒステリシスや部分ごとの性能の不均一性が問題となり、単セル(0.1cm2以下)では20%を超える変換効率が多数報告されているが、大面積の直列モジュールでは全く報告されていなかった。

 研究チームは、これまでにカリウム(K)をドープした有機金属ハライドペロブスカイトを用いたPSCで、I-Vヒステリシスを大幅に低減できることを明らかにしてきた。今回、ペロブスカイトの成膜条件の最適化によりI-Vヒステリシスがほとんどない単セル(0.187cm2、変換効率22.3%)および3直列ミニモジュールの作製に成功した。

 レーザーエッチングでパターン形成した後、酸化チタン緻密層と酸化チタンナノ粒子層を積層。その上にペロブスカイト層を作製、ホール輸送層製膜し、各セルを切り離すため2回目のレーザーエッチングを行った。さらにその上に金電極を成膜し、3回目のレーザーエッチングを行ってPSCを完成させた。

 ペロブスカイト太陽電池の実用化には、高効率を維持しつつ(1)大面積化すること、(2)高効率の直列モジュールを作ること、(3)モジュール化してもI-Vヒステリシスを示さないものを作ること、の3点が必要となる。今回の成果は、I-Vヒステリシスが極めて小さいカリウムドープペロブスカイト太陽電池の性能向上でこれらを解決したもので、大きなブレイクスルーになるという。

  • 記事ランキング