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スイスABB、太陽光向けパワコンから撤退、伊FIMERに事業売却

2019/07/10 18:56
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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茨城県鉾田市の出力約22MWの発電所に設置された、ABB製の出力1MW機
(出所:日経BP)
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 スイスの重電大手であるABBは7月9日、太陽光発電向けのパワーコンディショナー(PCS)事業から撤退すると発表した。イタリアのPCSメーカーであるFIMERが、ABBのPCS事業を買収することで同日、合意した。

 欧州の大手重電による太陽光発電向けPCS事業からの撤退は、フランスのシュナイダーエレクトリックに続くもの(関連ニュース)。ABBもシュナイダーと同様、今後はPCSや重電などで培った知見を生かし、情報通信技術(ICT)を活用した監視・制御システムに注力していくとみられる。

 ABBの場合、今後の太陽光発電関連の事業として、スマートビルやエネルギー貯蔵、電気自動車への充電などと連携させた手法を、低圧や中圧系の先端的な製品・サービスを通じて展開していくとしている。

 ABBのPCS事業は、30カ国以上で展開し、約800人の従業員を擁している。製造や研究開発の拠点は、イタリア、インド、フィンランドにある。また、ABBのPCS事業は、旧来から自社で取り組んできた事業に、2013年に米Power-Oneから買収した事業も加わっている。

 ABBのPCS事業の2018年の売上高は、約2億9000万米ドルとなっている。これまで、世界各地の太陽光発電所向けにPCSの製品、関連システム、関連サービスを提供しており、ABBの電力系の中核をなす事業だった。

 今後、両社が協力し、FIMERへの顧客と従業員の円滑な移行を確実に進めていくとしている。 FIMERは、ABBによる既存のすべての保証を引き継ぐとしている。

 事業の譲渡は、2020年第1四半期に完了する予定で、ABBは、PCS事業と関連する責任を、FIMERに引き継ぐために、必要な補償をFIMERに提供していくという。

 補償関連の費用として、ABBは、2019年第2四半期に約4億3000万米ドルの税引後営業外費用を計上する予定。この費用のうち約75%は、契約終了日から2025年までの間に、ABBがFIMERに支払う現金が占める。さらに、ABBは、2019年下期から最大4000万米ドルの撤退関連費用を見込んでいる。

 ABBによると、太陽光発電向けPCS事業の売却は、競争力を強化しつつ、収益がより高い成長分野に経営資源を振り向ける戦略に基づくものとしている。ABBは、電力網関連の事業も、日立製作所に売却することを発表している。

 ABB製のPCSは、日本国内のメガソーラー(大規模太陽光発電所)でも、相当数が採用されてきた。修繕やサポートが重要な機器だけに、発電事業者にとって、イタリア系企業への事業譲渡が、リスクになる恐れも考えられる。

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