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太陽電池だけで「街乗り」可能なPHV、実証車を公開

2019/07/11 18:46
金子 憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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ルーフやフード、バックドアなどの曲面形状に沿って搭載した
(出所:日経BP)
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太陽電池セルは化合物3接合型で、変換効率は34%以上
(出所:日経BP)
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透明の樹脂製基板にセルを張り付けた
(出所:日経BP)
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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、7月10~12日にパシフィコ横浜(横浜市)で開催されている「PV2019 太陽光発電展示会&フォーラム」に、約860Wの太陽電池を搭載したプラグインハイブリッド車(PHV)の実証車を展示した。

 同実証車は、NEDOとシャープ、トヨタ自動車が共同で開発したもの。シャープが、NEDO事業の一環で、変換効率34%以上の高効率太陽電池セル(発電素子)を車載用にモジュール化した。トヨタが、このモジュールを出力約860W分、同社製の「プリウスPHV」の車体に搭載した。7月下旬から公道での実証走行を開始することになっている。

 NEDOの試算によると、今回試作した実証車は、晴天時に丸1日、太陽電池で発電した電気を蓄電池に充電した場合、40~50kmの電動による走行が可能という。1つの都市内を日常的に「街乗り」として利用した場合、太陽電池の電気だけで運用できる見込みだ。

 太陽電池セルは、化合物3接合型で、インジウムガリウムリン(InGaP)、ガリウムヒ素(GaAs)、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)などによるタンデム(3層)構造で、幅広い波長の太陽光を電気に変換することで高効率を実現した。

 この電池は、約0.03mmの薄いフィルム状のため、自動車のルーフやフード、バックドアなどの曲面形状に沿って効率よく搭載できたという。

 トヨタは、すでに太陽電池をルーフに搭載したプリウスPHVを市販化しているが、太陽電池(パナソニック製HIT=ヘテロ接合型結晶シリコン太陽電池)の搭載容量は180Wに留まる。このため、太陽電池による1日の充電で走行できる電動走行距離は、6.1kmに過ぎなかった。

 また、従来の太陽電池搭載PHVでは、駐車中にしか充電できなかったが、実証車では、走行中にも太陽電池の電力を使い、駆動用蓄電池に充電できる。

 今回の実証車では、搭載する太陽電池を高効率タイプに変更し、搭載する場所をルーフに加え、フード、バックドアにも広げることで、860Wまで容量を増やした。NEDOでは、今後、車載向けに太陽電池をさらに改良していけば、1000Wの搭載も可能と見ている。

 NEDOでは、7月下旬から公道実証で、実走行での電動走行の距離を検証するとともに、化合物3接合型太陽電池の低コスト化に取り組み、早期の実用化を目指す。

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