国内太陽光の発電コスト、現状でも最安で10.8円、自然エネ財団が分析

2019/07/30 19:39
工藤宗介=技術ライター

 自然エネルギー財団は7月23日、日本における太陽光発電の発電コストを分析したレポート「日本の太陽光発電の発電コスト:現状と将来推計」を公表した。それによると、現状のコストでもトップランナー水準で10.8円/kWhまで下がっており、2030年には更に約半分の5円/kWhまで下がる可能性があるという。

 2030年には、太陽光パネルなどハードウエア価格の低下、発電効率向上に伴う造成面積および施行工数の減少などにより大幅に低下するという。

 2018年11~12月にアンケート調査を実施し、現状の発電コストを推計した。コストに影響を与える主要素として認定年度と発注方法の違いに応じて3つのケースに分類した。発電単価は、効率的ケースで13.1円/kWh(米ドル換算で11.9セント/kWh)、平均的ケースでは15.3円/kWh(同13.9セント/kWh)、高コスト構造ケースでは21.3円/kWh(同19.4セント/kWh)だった。

現状の太陽光発電のコスト推計。2018年11~12月のアンケート調査によるもの
(出所:自然エネルギー財団)
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 効率的ケースは、固定価格買取制度(FIT)の認定を、ここ数年(2017~2018年度)に取得し、個別発注を通じて効率的に設計・開発・運転開始したもので、熟練した発電事業者にとっては必ずしも困難な条件ではないとしている。一方、高コスト構造ケースは、FIT初期の高額な買取単価を前提としたもので、さらにEPC(設計・調達・施工)事業者に発注することで、開発リスクは低減するが高コストな構造となっている。

 効率的ケースの中でも更にコスト効率的な水準のトップランナー値の発電単価は10.8円/kWh(同9.8セント/kWh)だった。2018年度の卸電力市場の平均単価9.8円/kWhに近い水準で、今後FITから自立する可能性が高まっているとした。また、2018年の世界の太陽光発電の加重平均単価8.5セント/kWhとも遜色ない水準で、日本の高コスト構造は解消可能としている。

 同レポートでは、開発方法やFIT認定年度の違いがコストに影響を与えていると分析。古い認定年度の案件は当時の買取単価を保持したまま大量に残存しており、ハードウエアコストが開発当初と比べて大幅に下落しているにも関わらず部材の調達コストが高いまま費用がかさ増しされる傾向が見られる。こうした構造は、運転開始制限を設けなかった初期の制度設計の失敗が原因と指摘する。

2030年には更に大幅低下

 2030年の発電コストの推計では、経済性の観点から日本企業の太陽光パネルの国内シェアが低減する可能性があることを踏まえ、出荷量比率を日本企業が20%、外国企業が80%と仮定した基準ケースと、日本でも外国企業の水準に価格が収れんする国際収れんケースを想定した。また、それぞれのケースで運転期間を25年と30年で推計した。

 これらの前提条件に基づき発電コストを計算すると、25年運転の基準ケースでは5.7円/kWh、国際価格収れんケースでは5.4円/kWhとなる。30年運転では更に発電コストが低下し、基準ケースでは5.2円/kWh、国際価格収れんケースでは5.0円/kWhになる。いずれも2018年の効率的ケースと比べても更に大きなコスト低減が見込まれる。

2030年の太陽光発電の発電コスト推計
(出所:自然エネルギー財団)
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 また、電源構成に占める太陽光発電の割合は現在より相当大きくなっており、昼間の時間帯は電力が余る事態が頻発する可能性がある。仮に年間10%の出力制御を受けた場合、発電量も10%減少することになる。10%の出力制御を加味した発電コストは、基準ケースで6.3円/kWh、国際収れんケースで6.0円/kWhに上昇する。

 このほかにも、2030年以降の昼間の卸電力価格水準が2018年より更に安価になり、結果として太陽光発電事業者が得られる収入が減る可能性がある。その一方で、安価な電力を電気自動車やヒートポンプ給湯機に用いる、あるいは蓄電して卸電力価格が高い時に売る・消費するといった新たな電力需要が創出される可能性もあり、重要な考慮事項のひとつとなり得るとしている。