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480MWの「宇久島プロジェクト」、8月にようやく着工!(page 4)

主体が九電工に代わり、土地や許認可の準備を急ぐ

2019/08/01 07:10
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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基礎は掘らずに形成

 宇久島は、人口が約2000人、面積が約2493万m2あり、太陽光発電プロジェクトが事業用地として借りる予定の土地は約630万m2と、実に島の4分の1を占める。

 しかし、この事業用地のすべてに太陽光発電設備を設置するわけではない。林地開発などで定められた比率の残地森林や、その他の条件で発電設備を設置しない区域の面積が定められ、こうした発電設備を設置しないことを前提としている場所も借りる。

 太陽光発電設備は、宇久島の島内と、宇久島のすぐ南西に浮かぶ「寺島」に設置される(図6)。発電設備の設置区域は、大きく四つの区画に分かれる。太陽光パネルを並べるのは、比較的平坦な土地が多い場所になる。

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図6●宇久島と、南西にみえる寺島
下は太陽光パネル設置区域の候補とみられる場所の一つ(出所:上は京セラ、下は日経BP)
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 平坦な場所が多い地域でも、活用できない場所もある。例えば、宇久島の東側に突き出るように広がる平野は、島内で最も太陽光パネルを広い場所に、効率的に並べやすいと思われる地域である(図7)。島の関係者によると、この地域の土地を借りることができず、活用を断念したという。

図7●太陽光パネルを並べるのに向く平野だが、借りることができなかった
(出所:日経BP)
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 この地域の東端にある長崎鼻と呼ばれる場所の近隣から、九州本土に向けて送電する海底ケーブルを敷設する意向もあった。この場所からの敷設も断念した。

 施工費は、太陽光パネルを並べる場所のうち、地上設置型をどこまで増やせるかで大きく左右される。

 このプロジェクトは、「営農型の480MW」と紹介されることが多いが、実際には地上設置型と営農型の併用となる。

 営農型を採用するのは、地主の意向や、農地転用に関わる農業委員会や県、国などの意向によって、恒久的な農地転用を実現しにくい場所となる。

 営農型は、農地の一部に支柱を立てて、農地の上に隙間を空けながら太陽光パネルを並べ、農作物と太陽光発電で日光を分け合い、農業と太陽光発電を両立する手法である。宇久島のプロジェクトでは、支柱を設置する範囲だけを一時的に転用し、営農の実態を評価しながら3年ごとに更新する仕組みを活用する。

 基礎の設置にも、制約がある。地中に岩石が多いことと、石が少ない場所でも、遺跡が埋まっている可能性もあることから、地表の現状を変えず、地中を掘り込まないことで基礎を築く手法を採用する。

 九州には、このような場所が多く、九電工も多く経験している。コンクリートの置き基礎を基本に、いかに効率的に施工していくかがポイントとなるという。九州各地の同じような条件の土地で、太陽光発電所のEPCサービスを担当してきた経験が生きるとしている。

 太陽光パネルの設置では、強風への対策にも注目される。強い風雨を伴う台風が宇久島の周辺を通過する際には、沖縄周辺と同等かそれ以上の強風が吹き続けるという。

 太陽光パネルの設置場所の候補とみられる平坦な地域の中には、高い木は少なく、本州であれば標高2500m以上でしか見られないような、まるでハイマツ(這松)が覆っているかのような高山に似たような植生となっている場所もあり、風の強さを物語る(図8)。

図8●まるで高山の這松のように、地表付近にしか木の幹が伸びていない
(出所:日経BP)
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 太陽光パネルの設置角は小さく、設置高さは低めのアレイ(太陽光パネルの架台への固定単位)の構成となることが予想される。

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