太陽光への「発電側基本料金」、FIT単価27円以下は「免除」に

2019/08/09 08:30
金子 憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

 経済産業省は8月5日、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会を開催し、今年4月から議論してきた「2020年度末の固定価格買取制度(FIT)の抜本的な見直し」に関して、事務局(経済産業省)のまとめた中間整理案を公表した。

 そのなかで、「発電側基本料金」に関しては、「原則、調達価格の算定において制度上、追加的な利潤配慮がなされていないものについては、発電側基本料金による追加コストと同水準を調整する措置を置くことを検討する」との文言を記載した。

 これにより、買取単価27円/kWh以降の案件(2015年7月以降の認定)に関しては、調整措置(買取単価に上乗せ)によって、実質的に負担しなくて済むことが確実になった。

 一方で逆に言うと、今回の中間整理の文言からは、利潤配慮期間(2015年6月までの認定)の案件(40円、36円、32円、29円/kWh)については、調整措置を設けないとの方向性が強まったことになる。

 ただ、複数の委員が、利潤配慮期間であっても、発電側基本料金への調整措置は必要との意見を表明した。また、オブザーバーで参加しているJPEA(太陽光発電協会)も、利潤配慮期間への配慮も求めた。

 最終的な決定は、今後、調達等算定委員会の場で議論して決めることになる。

運用コストだけが増すことに

 「発電側基本料金」とは、最大出力(kW)に応じて、発電事業者に課金する仕組み。現在、電力システム改革の一環で導入する方向になっている。従来、電力系統設備のコストは、共通利用の多い部分については「一般負担」として電力需要家の支払う電気料金(託送料金)に含めている。また、共通利用の少ない設備は「特定負担」として、系統接続時の工事費負担金で発電事業者に請求している。

 「発電側基本料金」は、今後、電力需要が減少していく一方で全国的に分散電源が増加していくなか、系統への新規投資を円滑に進める目的で検討している。送配電網に接続する発電事業者に幅広く系統設備のコストを負担してもらうのが狙いだ。 原則として、再エネ電源を含め、すべての電源にkW一律で課金する。

 今回の制度変更では、「発電側基本料金」の導入と併せ、系統接続時の初期負担(工事費負担金)のあり方も見直す。発電側基本料金が「kW一律」であることから、系統接続時の初期費用の「一般負担」の上限についても「kW一律」になる。

 太陽光の場合、従来、一般負担の上限は1.5万円/kWだが、これを4.1万円/kWに引き上げる。これにより、太陽光接続時の系統工事費用における一般負担の割合が増え、太陽光発電事業者の支払う特定負担分(工事費負担金)が減るケースが出てくる。

 つまり、制度変更後は、初期投資が減る半面、稼働後に毎年、「発電側基本料金」が課されることなる。ただ、すでに稼働している再エネに「発電側基本料金」が課された場合、初期投資の減少という恩恵のないまま、運用コストだけが増すことになる。

 加えて、固定価格買取制度(FIT)で導入された再エネ設備の場合、買取期間中、固定価格で買い取られるため、「発電側基本料金」による追加コストを転嫁できない。また、「kW一律」の場合、設備利用率の低い変動型再エネにとってはkWh当たりの負担が相対的に増すという側面もある。

 そこで、稼働済みのFIT再エネに関しては、現在と同水準の収益性を維持するためには、新たに課された発電側基本料金分、FITの買取価格に上乗せして引き上げる「調整措置」が必要になる。ただ、そうなると賦課金による国民負担が増す。これまでの議論の中で、稼働済み太陽光のなかでも、「FIT開始3年間の利潤配慮期間の買取価格が適用されている案件については、調整措置は必要ない」との意見が出されていた。

一般負担上限の見直しと発電側基本料金の導入イメージ
(出所:経産省)
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一般負担上限の見直しと発電側基本料金の導入イメージ
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