鈴鹿のソーラーカーレース、大阪産業大がクラス優勝、トリナ製裏面電極セルを搭載

2019/08/09 11:06
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 三重県鈴鹿市にあるレース場「鈴鹿サーキット」において8月2~3日、太陽光発電の電力で走るソーラーカーによる「FIA Electric & New Energy Championshipソーラーカーレース鈴鹿2019」が開催された(図1)。

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図1●「FIA Electric & New Energy Championshipソーラーカーレース鈴鹿2019」
(出所:日経BP)
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 クルマの表面に太陽電池セル(発電素子)を並べ、この発電電力を動力として走る電気自動車によるレースで、国際格式および国内格式の競技会となっている。車体には、太陽電池セルのほか、蓄電池も搭載している。

 鈴鹿でのソーラーカーレースは、国内で開催される最大級の国際ソーラーカーレースとしている。初めて開催されたのは1992年で、今回で28回目の開催となる。

 今回のレースでは、車体の寸法やドライバーを含む重量、車体に貼り付けた太陽電池セル、搭載する蓄電池、チームの構成員の年齢などによって、4つのクラスに分かれ、4時間または5時間耐久で、周回数の多さで順位を競った(動画1~6)。

動画1●ピットからの出庫
(出所:日経BP)
動画2●1週目のゴール地点で、かなりの差がついていた
(出所:日経BP)
動画3●第1・第2コーナーでの様子
(出所:日経BP)
動画4●S字コーナーでの様子
(出所:日経BP)
動画5●登り坂の逆バンクコーナーでの様子
(出所:日経BP)
動画6●ピット作業の様子
(出所:日経BP)

 具体的には、4時間耐久のエンジョイI/IIクラス(合計18チームが参加)、5時間耐久のドリームクラス(7チーム)、チャレンジクラス(6チーム)、オリンピアクラス(10チーム)の競技が開催された。

快晴の中、高速で走るチームも

 鈴鹿でのソーラーカーレースには、中国の大手太陽光パネルメーカーであるトリナ・ソーラーが、2015年からスポンサーを務めている。

 今回は、それぞれのクラスの上位入賞チームや、独創的な挑戦をした各3チームに「トリナ・ソーラー賞」として、同社製の携帯型蓄電システム「TrinaBess(トリナベス)」を贈呈した。前年までの4年間は、両面発電の太陽光パネルなどを贈呈してきた。

 出場したそれぞれのチームは、太陽電池セルを購入するか、または、メーカーから無償で提供を受けて入手し、車体の表面に貼り付ける。

 鈴鹿でのレースでは、ガリウムヒ素(GaAs)などの超高効率なセルの使用は禁じられているため、結晶シリコン型の裏面電極タイプを採用しているチームが多く見られる(関連ニュース1:大阪産業大、ソーラーカーレースで優勝、トリナ製IBCセル搭載工学院大学のソーラーカー、サンパワー製太陽電池を曲面に装着)。

 例えば、トリナ・ソーラー製の太陽電池セルを使っていたチームはいくつかあったが、同社が無償提供したのは、大阪産業大学のチームのみで(図2)、他のチームはそれぞれが購入したものとなっている。

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図2●大阪産業大学のチーム
三浦愛ドライバー(上)は、同大の卒業生で、レーシングドライバーとして活躍している(出所:日経BP)
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 耐久レースが実施された3日は、快晴だった。太陽光発電電力には恵まれたものと予想され、レース中は高速でコースを走り抜けていくチームも多かった。太陽光発電に向く条件の中で開催されると、時速100km以上の速度で走り続けるチームもある。

 ソーラーカーレースで順位を左右する要素は、いくつかある。まず、日照条件が絶えず変化するという、不安定な状況において太陽光発電電力を使いながら、長時間、無駄なく走行できるようにレースカーを戦略的に管理・制御することである(図3)。

図3●レース中の車速、太陽光発電電力、蓄電池からの放電の状況
大阪産業大学のチームの例。時速(右上)は100kmを超えている瞬間もある(出所:日経BP)
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 例えば、太陽電池セルの発電の性能の高さに加え、走行時の抵抗やエネルギー消費を最小限に抑えるなど、消費電力を最小化することが重要になる。

 トリナ・ソーラーによると、同社が支援している大阪産業大学のチームなど、学生のチームにとっては、スピードを争う技術が求められるレースを通じて、戦略的な計画や管理、チームワーク構築などの経験、学習の場となる重要な機会となる。今後の持続可能な社会に不可欠な太陽光発電の力を使いこなしながら、このような機会に挑戦していくことに、大きな意義を感じているという。

 大阪産業大学のチームは、5時間耐久で69周をまわり、ドリームクラスで優勝し、他のクラスも含めた総合では2位となった。