中国全土344都市でグリッドパリティ、欧研究者が発表

2019/08/19 17:06
大場 淳一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 スウェーデン王立工科大学(KTH)のJinyue Yan教授らの研究チームは8月12日、中国全土の都市で「グリッドパリティ」が達成され、太陽光発電による電力コストが電力系統網の電力コストを下回ったとの調査結果を発表した。

 同研究チームが学術誌「Nature Energy」に投稿した論文「中国における補助金非適用の太陽光発電の価格、利潤およびグリッドパリティに関する都市レベルの分析」によるもの。

 同調査では、中国全土にある344カ所の地級市(省と県の中間に位置する行政区分)における産業用太陽光発電および系統電力網の電力コストを比較し、そのすべてで太陽光が系統網より低コストになり得ることを明らかにした(関連記事1)。地級市すべてといったレベルでの太陽光発電のコスト調査は、今回が初めてとみられる。

 さらに、そのうちの22%となる76の地級市では、太陽光発電による電力コストが脱硫石炭を燃料とする火力発電のコストを下回ったとしている。

 ユーザー側におけるグリッドパリティの達成度合いが高かったのは、チベット自治区、甘粛省、内モンゴル自治区、黒竜江省という(図1)。

図1●スウェーデンKTHのYan教授らが発表した中国全土のグリッドパリティの概況。青色が濃い地域ほどグリッドパリティの達成度合いが高い
(出所:Yan et.al/Nature Energy)
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グリッドパリティ達成の要因は?

 同調査チームは、太陽光発電の普及推進のために中国政府が2000年以降に導入した100件以上の政策による支援や技術の進歩によって、太陽光発電の均等化発電原価(LCOE)が急速に下落したためと説明している(図2)。

図2●中国のおける太陽光発電の均等化発電原価(LCOE)の推移
(2000~2018年、出所:Yan et.al/Nature Energy)
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 Jinyue Yan教授らは、「近年、中国は太陽光パネルの一大生産国となっただけでなく、主要な市場となった」と同論文で述べている。

 さらに同教授らは、中国で今後さらに太陽光を推進するための施策として、新しい資金調達の仕組み、複雑な手続きや税制の簡略化、より各地域に即した普及推進の政策などを示唆し、改善の余地がある都市ごとに補助金を設定するといった提案も盛り込んでいる。

 中国政府は2020年のグリッドパリティを目標として固定価格買取制度や補助金などの政策を推進してきたが財政的に支えきれなくなり、2018年5月末に補助金をすべて撤廃、補助金なしで持続可能な太陽光の成長を目指す政策に転換していた(関連記事2)。

 中国製太陽光パネルの供給過剰が市場で慢性化し価格の下落に拍車をかけたことも、今回の調査で明らかとなったグリッドパリティの前倒し達成の一因となっているようだ。