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大型蓄電池・世界市場、電力向けは2030年に2.3倍

2019/08/28 18:56
工藤宗介=技術ライター
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大型蓄電池の世界市場
(出所:富士経済)
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 富士経済は8月26日、2018年の大型蓄電池の世界市場について、自動車分野向けは3兆9174億円、電力貯蔵分野向けは8187億円だったとの調査結果を発表した。

 2030年には、自動車分野向けは中国需要などを始めとする電気自動車(EV)向けが続伸し2018年比3.8倍の14兆9610億円、電力貯蔵分野向けは導入補助政策や大規模な技術実証などにより同2.3倍の1兆8819億円になると予測する。

 自動車分野向けでは、駆動用はリチウムイオン蓄電池が中心、補機用は鉛電池が大部分を占める。電力貯蔵分野向けでは、市場の5割強をリチウムイオン蓄電池が占める。リチウムイオン蓄電池は、生産ラインの稼働率の向上に伴う量産効果や採用分野における価格競争の激化などにより価格下落が続いており、それに伴い数十~数百MWhの大規模案件や4~5時間程度の長時間容量用途での採用が増加している。

 また、注目市場である住宅用蓄電システムは、日本市場ではZEH(ネット・ゼロエネルギー住宅)関連補助金やVPP(仮想発電所)補助金に加えて、販売ノウハウの確立と浸透、顧客ニーズに合った製品ラインアップにより市場拡大した。今後は、固定価格買取制度(FIT)満了に伴う自家消費ニーズにより、さらに拡大する見通し。2020年以降は、デマンドレスポンス(需要応答)やVPP連携エネルギーサービス用電源としての活用も期待される。

 海外市場では、ドイツ、イタリア、英国と行った欧州諸国、オーストラリア、米国の一部州において、家庭向け電気料金の高騰、FIT買取単価の下落、補助金を活用した太陽光電力の自家消費補助・最大化用途での導入が進んでいる。また、電力供給の不安定な米国一部州や中国を除くアジアなどで非常用電源用とでの導入も見られる。さらに、系統設備の負荷低減実証事例など、用途の裾野が広がっている。

 住宅用蓄電システム向け市場は、2018年が887億円、2030年には2018年比3.0倍の2617億円と予測する。当面は米国や日本と中国を除くアジアでの非常用電源用途やピークシフト用途のトライアルを中心に鉛電池が一定の需要を維持する見込みだが、今後はリチウムイオン蓄電池へと移行し鉛電池の需要は縮小するという。

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