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降雨量と融雪量のAI予測、ダムを効率運用、1000億円の増収も

2019/10/16 12:04
工藤宗介=技術ライター
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レーダー雨量と地上雨量を用いて算出した解析雨量
(出所:気象庁)
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AI(画像解析)技術を活用した予測手法
(出所:DeNA)
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気象衛星ひまわり8号で観測された積雪域(水色は推定積雪域)
(出所:日本工営)
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 ディー・エヌ・エー(DeNA)と、日本工営、長岡技術科学大学、長岡工業高等専門学校は、多目的ダムの発電量増加に関して共同で研究し、効率的な利水運用により累計で年間約1000億円の増電収益が見込めると推計した。10月10日に発表した。

 同研究は、国の「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業」のプロジェクトのひとつとして、新エネルギー・産業技術総合開発気候(NEDO)から委託を受け、2018年11月1日から2019年3月15日までの期間に実施した。短期的な降雨量予測技術と、長期的な融雪水の水量把握手法から構成される。

 降雨量予測では、これまで高頻度で正確だが観測範囲の狭い地上雨量と、広範囲だが局所的・速報的な観測には不向きなレーダー雨量を組み合わせることで、広範囲かつ正確な雨量を解析雨量として算出していた。しかし、解析雨量は30分おきに過去1時間の雨量から算出するため、速報性に欠けダム流入水量に誤差が出ることがあった。

 今回、解析雨量を正確な値と見立ててレーダー雨量データを深層学習モデルによるAIによる画像解析技術で補正することで、解析雨量と同程度に正確な降雨量データを5分単位で求められるようになったという。ダム流入水量をより正確に予測することで、ダム運用効率化への貢献が期待される。

 融雪水については、これまでは多雪地域で春から初夏(4~5月)にかけての融雪期にダムへの流入水量が発電水量の上限を越えてしまい、発電に利用されないまま川に流出していた。今回、衛星画像と気象水文データ、分布型流出モデルを用いて融雪水の水量を把握する手法を開発し、融雪期間に発電利用されてないと想定される水量を融雪期前に発電に使う場合を検討した。

 これらの技術を用いて降雪量が顕著な地域のダム(流域面積約80km2)をサンプルにシミュレーションを実施し、年間6.25%の増電効果が得られることを明らかにした。同手法を日本国内の多雪地域に分布する発電ダムや多目的ダムに展開して年間968億円の増電収益が見込めると推計した。また、サンプルダムでの改善効果とともに、ダム1基あたりのシステム構築概算費用を3年程度で賄えることも検証した。

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