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複合体で「量子ドット」の欠点を克服、太陽電池に応用も

2019/10/23 20:45
工藤宗介=技術ライター
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紫外光下でのグラフェン量子ドット+シリカ系無機材料の複合体
(出所:GSアライアンス)
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グラフェン量子ドット+シリカ系無機材料の複合体の粉体
(出所:GSアライアンス)
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 環境エネルギー分野の先端材料を開発・製造するGSアライアンス(兵庫県川西市)は10月23日、自社で製造販売しているグラフェン量子ドットとシリカ系無機材料を複合させることで、量子ドットの最大の弱点である耐候性や耐熱性の向上に成功した複合体材料を開発したと発表した。

 量子ドットは、量子化学、量子力学に従う光学特性を持つナノスケールの超微細結晶。直径が通常0.5~9nmのごく小さい構造体で、1個あたりの原子・分子数は10~1000個とされる。ナノ結晶のサイズによってバンドギャップを調整可能で、粒径に依存した特徴的な発光特性を持つ。

 サイズを変化させることで発光波長を調整でき、固体の蛍光体と比較してスペクトルの半値幅が狭いという特徴がある。高い量子効果を持ち、幅広い波長を吸収できる。発色が明るく、鮮やかに広範囲の光を発光させることができ、高効率、長寿命、高い減衰係数を持つことから、さまざまな用途での応用が期待される。

 想定される用途は、量子ドット太陽電池、量子ドットディスプレイ、生体イメージング・バイオマーカー・医療画像装置(がん細胞のイメージング、たんぱく質の分析、細胞の追跡など)、量子コンピューター、セキュリティタグ・セキュリティインク・偽造防止、量子ドットレーザー、トランジスタ、フォトニック結晶、LED、高密度固体メモリー、熱電材料、人工光合成など。

 同社は、さまざまな量子ドット(InP/ZnS量子ドットなどの半導体系量子ドット、ペロブスカイト量子ドット、シリコン量子ドット、グラフェン量子ドット、炭素量子ドット、PbS量子ドット、三元系量子ドットなど)を合成して販売している。今後、グラフェン量子ドット以外の量子ドットと無機材料との複合化も試みる可能性があるという。

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