ニュース

風力発電が2050年までにアジアで10倍増、IRENAの見通し

2019/10/24 12:00
大場 淳一=日経BP総研 クリーンテックラボ
印刷用ページ

 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は10月21日、2018年時点で230GWが導入されているアジアの陸上風力発電の設備容量が2050年までに2600GW以上まで増加するとの見通しを発表した。

図1●IRENAの調査報告書「Future of Wind」の表紙
(出所:IRENA)
クリックすると拡大した画像が開きます

 2050年時点でアジアは風力発電の主要地域となり、陸上風力では世界全体の設備容量の50%以上、洋上風力で同60%以上の設備容量を占めると見込む。

 10月21日に北京で開催された風力発電に関するイベント「China Wind Power」においてIRENAが公開した調査報告書「風力の未来(Future of Wind)」によるもの(図1)(図2)。

図2●北京で開催された「China Wind Power」で講演するラ・カメラIRENA事務局長 (出所:IRENA)
クリックすると拡大した画像が開きます

 同報告書によると、風力発電の世界全体での総設備容量は2050年までに現在の10倍増となる6000GW以上まで増加する可能性がある。

 この容量は世界の総電力需要の3分の1を賄い、温室効果ガス排出量でパリ合意の目標達成に必要となる抑制量の4分の1に相当する(図3)。この目標に達するためには、陸上風力の設備容量を現在の4倍、洋上風力を同10倍、毎年増加させる必要があるという。

 また、同報告書では世界の風力発電産業が2030年までに370万人以上、2050年までに600万人以上の雇用を創出すると見込む。これらの数字は、現在の風力発電産業における雇用創出効果である100万人余りのそれぞれ約3倍、および約5倍となる。

 IRENAは、各国内の風力発電サプライチェーンを強化し産業としての開発を推進するうえで、適切な産業政策や労働政策が雇用や収益機会の成長のために重要と指摘している。

 世界全体で今後10年間にわたって風力発電の成長を加速させるためには、投資をさらに呼び込むことがカギを握る。世界全体の平均年間投資総額は陸上風力では現在の670億ドルから2050年には2110億ドルに、洋上風力では現在の190億ドルから2050年には1000億ドルに増加させる必要があるという。

 IRENAのフランチェスコ・ラ・カメラ事務局長は、「再生可能エネルギーを活用すれば、気候変動に対して安全な将来を達成することが可能だ。IRENAが作成した2050年までのエネルギー転換ロードマップでは、気候変動のリスクを回避し、持続可能なエネルギーの将来を確実に実現することが技術的かつ経済的に可能であることを示している。風力発電によってパリ合意の目標を達成するだけでなく、経済を成長させ雇用を創出することで持続可能な開発を加速することも可能となる」と述べている。

図3●風力発電は2050年までに世界の電力需要の3分の1を賄う可能性がある。左は発電電力量、右は設備容量を示す
(出所:IRENA)
クリックすると拡大した画像が開きます
  • 記事ランキング