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「分散型太陽光が今後5年間で最も成長」、IEAの調査

2019/10/29 10:05
大場 淳一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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 国際エネルギー機関(IEA)は10月21日、今後5年間で住宅や商業ビル、産業施設などに設置される太陽光発電システムが急成長し、特に分散型の太陽光が市場成長をけん引するとの見通しを発表した(関連記事1:「太陽光が再エネ2ケタ成長への回復をけん引」、IEAが発表」)。

 IEAが発表した最新の調査報告書「Renewables 2019」によるもの(関連記事2:「今後5年間で最も成長する再エネはバイオマス」)。IEAによれば、2019年から2024年までの5年間で再生可能エネルギーの設備容量は1200GW、50%増加し、電気の発電と消費の方法が変革されるという。

 再エネがここまで成長するのは、コスト下落と政策などの取り組みがあるためである。

 太陽光発電は再エネ成長分の60%、約700GWを占め、世界全体の電源に占める再エネの比率は現在の26%から2024年の30%まで増加すると見込む(図1)。

図1●2019~2024年における電源別の再エネ設備容量の成長量の比較
(出所:IEA)
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 分散型太陽光に関しては、2024年までの太陽光発電全体の市場成長の半分近くを占める。その内訳は、75%が産業用・事業用であり、住宅用よりも多い。

 同報告書では、分散型太陽光で住宅用より産業用などが支配的な比率となった理由として、規模の経済によるシステム供給が事業用や産業用の分野における電力需要とうまくマッチし、より多くの自家消費や電気料金の節約を実現していることを挙げている。

 一方、屋根上に設置する住宅用太陽光発電システムの数量は、2024年までに現在の2倍以上となり1億数千万台に増加すると見込む。それでも、技術的なポテンシャルに占める比率はわずか6%に過ぎないといい、それ以降も成長余力が大きい(図2)。

図2●2010~2024年の屋根上設置太陽光発電の設備容量の推移(予測)とポテンシャル 
(出所:IEA)
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 2024年の時点で1人当たり普及率では、オーストラリア、ベルギー、米カリフォルニア州、オランダ、オーストリアなどがランキングの上位を占めるとしている。

 再エネで太陽光発電が最も成長する要因としては、コスト下落が継続している点が大きい。IEAのファティ・ビロル事務局長は、「コスト下落が続くため、太陽光発電の導入を加速するインセンティブも増大している」と述べている。

 IEAの予測では、太陽光発電のコストは2024年までにさらに15~35%下落するため、他の電源と比較してもより魅力的な選択肢となり普及に拍車が掛かると見込む。

 同報告書ではこれまでと同様に太陽光発電だけでなく、他の再エネ電源や熱利用などについても調査を行っている。再エネの熱利用は2019~2024年の間に約20%成長し、中国、欧州連合、インド、米国などが市場の成長を主導すると見る。しかし、全体的には再エネの熱利用は電気と比較して大幅に立ち遅れているという。再エネの熱利用は2024年の熱の総需要の12%未満に過ぎず、より高い目標や強力な政策による後押しが必要と指摘している。

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