低圧事業用の野立て太陽光、政策支援を打ち切り、バブル終焉へ、経産省が方針

2019/10/30 19:31
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

 経済産業省は10月28日、固定価格買取制度(FIT)の抜本的な見直しなどを検討する「再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会」の第3回の会合を開催し、「地域活用電源」に関する制度のあり方を討議した。

 そのなかで、連系出力50kW未満の低圧事業用太陽光について、2020年度から「自家消費型の地域活用要件」を設定し、これに該当する案件に限定してFITの枠組みを維持するという方向性を示し、委員から概ね了承を得た。今後、調達価格等算定委員会で詳細な要件などに関して検討していくことになる。

 これにより、事業用太陽光の認定容量で約3割、件数ベースでは約9割を占める野立ての低圧事業用案件に対する政策的な支援が事実上、打ち切られ、FIT開始以来の「低圧事業用太陽光・バブル」が終焉に向かうことになりそうだ。

低圧事業用案件は、事業用太陽光の認定件数の9割を占めてきたが・・・
(出所:日経BP)
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 FIT抜本見直しでは、低コストを積極的に促す「競争電源」(大規模太陽光、風力発電)と、地域で活用される「地域活用電源」(小規模地熱、小水力、バイオマス発電、小規模太陽光)の2タイプに分け、「競争電源」は、入札制への移行とともに買取価格を市場連動にし、「地域活用電源」については、基本的には現在のFITの枠組みを残す方向になっている。

自家消費か地域消費

 今回公表された事務局(経産省)案では、地域活用電源に該当する小規模太陽光として住宅用(10kW未満)とともに、連系出力10kW以上50kW未満の低圧事業用案件も含むこととし、住宅太陽光と同様に、自家消費を前提とした余剰売電に移行するとした。

 事務局案では、地域活用電源の定義を、「自家消費型かつレジリエンス(災害時のエネルギー供給)への貢献」、もしくは、「地域消費型かつレジリエンスへの貢献」とした。

レジリエンスに貢献する小規模再エネの例。むつざわウェルネススマートタウン(千葉県睦沢町)
(出所:経済産業省・審議会資料)
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 「自家消費型」の典型は、建物屋根上に設置して消費するケースだが、同一敷地内でなくても、自営線により同一敷地外に供給する場合も含むとした。

 また、「地域消費型」とは、災害時に地域住民に利用されることを前提に、平時にも地域の需要家に対し、電力系統を通じた託送で売電する事業モデルを想定している。例示として、市町村の出資した地域新電力に売電しているケースなどを挙げた。

 今回の事務局案では、小規模太陽光に関しては、「地域活用電源」と認める定義を「自家消費」に限定し、「地域消費」を含めていない。そのため、10kW~50kWの低圧事業用太陽光が「地域活用電源」と認定されるには、需要家と同一敷地内に設置して自家消費するか、敷地外の場合、自営線で需要家の敷地まで送電する必要がある。

「営農型低圧」の行方は?

 今後、調達価格等算定員会の場で、議論される詳細な要件内容としては、「自家消費率の最低を設定するのか」「集合住宅やテナントビル、第三者所有モデルなど需用家と発電設備の所有者の異なるケースの扱い」「自己託送制度を活用した場合の扱い」などになる。

 自家消費率の最低値を設定する場合、住宅太陽光の「30%」がベースになりそうだが、委員からは、「住宅太陽光の自然体ケースに揃える必要はない、半分を下回るのに、自家消費主体といえるのか」との指摘もあり、「50%以上」となる可能性もある。

 ただ、一方で、自家消費率の基準値を決めても、「いかに自家消費割合を計測・モニタリングするのか」「需要先が工場の場合など、操業の度合いや、生産設備の変更によって、事後的に自家消費率が大きく変化する可能性も高く、その場合どうするのか」など、制度設計が複雑になることも予想され、議論の行方が注目される。

 こうした方向性とは別に、事務局案では、「エネルギー分野以外の行政分野との連携案件」を検討課題とし、耕作放棄地の農地転用による営農型太陽光を例示した。営農型太陽光については、JPEA(太陽光発電協会)も、地域活用電源の1つとして認めてほしいとの要望を出しており、その扱いが議論されそうだ。

 また、2020年度には、現行のFIT下での入札範囲の拡大も予定されており、現在の「500kW以上」が、仮に250kW以上になった場合、50kW以上250kW未満の小規模の高圧太陽光の扱いをどうするのかも、今後の議論として残された。

 今回、事務局は、FIT抜本見直し期限の2021年3月に先駆け、低圧事業用太陽光について、2020年度から「自家消費型の地域活用要件」を設定するとした。この背景には、「FIT期間後の存続に不安の残る低圧事業用をこれ以上、増やしたくない」「時間的な猶予を短くし、低圧事業用案件の大規模な駆け込みを抑えたい」との狙いが見え隠れする。

 FIT抜本見直し後の2021年度以降、太陽光は、「自家消費+FIT余剰売電」の小規模案件(主に低圧)と、「FIP全量売電」の大規模案件(高圧・特別高圧)に分け、大規模案件は入札という政策支援の枠組みになりそうだ。自家消費しない低圧事業用案件は、電力取引市場で政策支援なしに相対で売電事業を行うしかない。低価格化が著しいとはいえ、従来のように投資対象として資金を集めつつ、開発を進めるのは難しそうだ。

事業用太陽光発電の余剰売電比率ごとのFIT認定案件件数
(出所:定期報告データより資源エネ庁作成)
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