福島で再エネ展示会、自家消費や出力制御への対応をアピール

2019/10/30 20:29
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

 福島県郡山市の展示会場で10月30~31日、「ふくしま再生可能エネルギー産業フェア(リーフふくしま2019)」が開催されている。地方で開催される再生可能エネルギーの展示会としては最大規模で、第8回となる今回は過去最大の216もの企業・団体が出展した。

 オープニングセミナーでは、経済産業省 省エネルギー新エネルギー部 政策課の山﨑琢矢課長が講演し、「再エネを巡る環境はここ数年で劇的に変化し、各国は低コスト化により強力に普及を進めている。この流れは不可逆的と見ている。日本は再エネ比率が16%まで増えてきたが、目標の24%にはまだ道半ば、今後も主力電源化に向けて強力に推進していく」と強調した。

 太陽光に関する展示では、政策支援の方向性にもなっている自家消費システムのほか、東北電力管内で来年から実施する可能性のある事業用太陽光に対する「出力制御」をサポートするシステムの提案が目立った。

 自家消費型では、Looop(東京都台東区)が「MY自家消費セット」との商品名で、企業向けの屋根上太陽光の設置・自家消費と、同社による電力供給、余剰電力買取サービスを組み合わせることで、最短で5年で投資回収が可能との試算を公表した。また、エクソル(京都市)は、企業向けに自家消費型太陽光に蓄電池、デマンド管理システムを加味することで、需要のピークカットによる電気代削減効果も実現できるとしている。

 九州電力管内で始まっている再エネに対する出力制御は、来年にも、四国電力、中国電力、そして東北電力管内でも実施される可能性が高まっており、これらの地域の事業用太陽光発電設備は、遠隔制御システムなど、設備面での対応が急務になっている。

 出力制御には稼働した時期などにより、旧ルールと指定ルールの2タイプあり、旧ルールでは、前日に電話やメールで制御指令を受け取り、早朝に人がサイトに出向いてパワーコンディショナー(PCS)を停止し、夕方に稼働させる。指定ルールでは、公衆回線を通じた電力会社からの指令によって直接、PCSを制御できることが前提になる。

 九州での出力制御の経験から、現在では旧ルールでもサイトに行かずに発電事業者が遠隔でPCSを停止・稼働することで、運用を効率化することが一般的になっている。このため旧ルール、指定ルールとも遠隔でPCSを制御するシステムが求められている。

 ほとんどの事業用太陽光では、発電量の遠隔監視システムを導入済みだが、出力制御に対応してPCSを遠隔制御するには、新たに装置の設置やPCS側の改造、インターネット回線の増設が必要なケースもある。遠隔監視システム大手のラプラス・システム(京都市)では、こうした出力制御向けのシステム変更の内容について展示し、早期の対応を促していた。

 PCS大手の東芝三菱電機産業システム(TMEIC)では、PCSの遠隔監視システムである「TMPV Simple Monitor」による出力制御への対応について解説した。同社によると、PCSメーカーの監視システムを使った場合、対応時に新たなハード面の改造が不要など、トータルでの対応コストが安くなる上、遠隔監視できる項目にPCSの内部状態も含まれるため、障害発生時の原因把握から復旧が早くなる、といった利点も大きいという。
 
 TMEICでは、既存の通信方式のままでの対応や、他社製のPCSを採用しているサイトも含めて「TMPV Simple Monitor」に統合して1つの監視画面で運用するなどのニーズにも対応できるとしている。

東北地方でも出力制御への対応が急務に。TMEICの遠隔監視システム
(出所:日経BP)
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火災の起きにくいパネル

 このほか、今回の展示会では、ここ数年、自然災害によって被災した太陽光発電所が相次いだことから、苛酷な天候を想定したシステムの展示も目立った。

 太陽光パネル大手の中国トリナ・ソーラーは、新しいタイプの水上太陽光向けのフロート架台システムの実機を初めて展示した。今夏、強風で水上太陽光の樹脂製フロート架台が損壊したケースが目立ったが、展示した製品は、6つの樹脂製フロート架台をアルミニウム製の部材で前3つ、後ろ3つに連結させた筏(いかだ)タイプで、強風対策をより強化したという。実際の設置では、前4つ、後ろ4つの8つのフロート架台を連結するパターンもあるという。

 東洋ケミカルエンジニアリング(東京都港区)とクリーンエナジージャパン(横浜市)が独自に共同開発して実証しているもので、トリナ・ソーラーでは、同社の太陽光パネルと、このフロートシステムを組み合わせ、「TrinaPro」として提供する予定だ。

 トリナ・ソーラーでは、水上太陽光に向いたパネルとして、両面受光型タイプを推奨しており、ハーフセルタイプの「DUOMAX twin」を展示した。同パネルの表面だけの最大公称出力は390~410W/枚で、実際に設置した場合、これに裏面の発電量が5~30%上乗せされるという。

トリナ・ソーラーは筏(いかだ)タイプのフロート架台を展示
(出所:日経BP)
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 また、アンフィニ(大阪市)は、太陽光パネルごとに発電量を監視したり、出力を停止したりできる制御ユニット(オプティマイザー)付きのパネルを展示した。災害でパネルが損傷した場合、PCSを停止し、接続箱を遮断してもパネルの出力が続くため、火災の可能性がある。オプティマイザー付きならば遠隔で各パネルの出力を止められ、安全性が高い。

 同社では、福島県楢葉町に稼働中の福島工場で、同タイプの太陽光パネルも製造しており、IV(電流・電圧)特性の他、EL検査によりマイクロクラック(微細な割れ)をチェックした上で出荷しているという。

アンフィニは福島工場で製造したオプティマイザー付き太陽光パネルを展示
(出所:日経BP)
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