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米国の再エネ投資税額控除、70以上の団体が延長を要望

化石燃料優先のトランプ政権下で「聖域」の再延長があるかに注目

2019/11/06 16:08
大場 淳一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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 米国太陽光エネルギー産業協会(SEIA)は10月29日、70以上の団体や組織が太陽光発電に対する現在の投資税額控除(ITC)制度の延長を要望していることを発表した。

 農家、住宅の建築業者、環境保護団体、電力協同組合などに加え、さまざまな産業を代表する団体が、ITCの5年間にわたる延長を可能とする「再生可能エネルギー延長法」を成立させるよう求める書簡を米議会に提出したという。

 米国農業会連合(AFBF)のZippy Duvall代表は、「農家や農場経営者は不安定な市場や収入の減少に直面しているが、再エネは安定した収入源となり、農業に必要な電気コストの節約も可能とする。ITCによる長期的な支援が必要だ」と述べている。

 SEIAのアビゲイル・ロス・ホッパー代表兼CEO(最高経営責任者)も、「農家と産業界がエネルギー政策で合意するというのは、そうよくあることではない。再エネのITC延長は常識だ。各団体によって、延長の目的は温室効果ガス排出量の抑制、投資の活性化、雇用創出と異なっているが、ITCは効果が証明された政策であり、それらすべてに対して有効だ」と述べている。

 太陽光や風力発電といった再エネの導入拡大において、ITCが米国で果たした役割は大きい。SEIAによると、ITCは20万人の雇用創出や1400億ドルもの民間による投資といった経済波及効果をもたらし、太陽光の導入量は1万%(100倍)以上も増加している。

 ITCが延長されない場合、現在の税額控除は2019年末までとなり、それ以降は産業用では控除率が30%から10%に減額され、住宅用では2022年に廃止となる(関連記事1)。

 一方、ITCが10年間延長された場合、米国で2018年に発電のために排出された温室効果ガスの21%に相当する3億6300万tのCO2排出量を抑制する効果があると見込む。ITCは2016年末にも失効する可能性があったが、2019年末までの延長を2015年12月に米議会が可決したという経緯がある(関連記事2)。

 米トランプ政権は11月4日、気候変動防止の国際的な枠組みである「パリ協定」から2020年以降に離脱することを国連に公式に通告した。今後、米国では石炭やシェールガスといった化石燃料が電源構成に占める比率が高まる可能性が高い。

 このような状況を考えると、党派を超えた支持があるとはいえ再エネITCが「聖域」として米国で再び延長されるのか、引き続き注目される(関連記事3)。

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