ヤンマーは11月14日、同社のグループ会社ヤンマーエネルギーシステム(YES、大阪市)が稲作農業で発生されるもみ殻を活用して熱と電気を供給する「もみ殻ガス化発電システム」の実証を開始したと発表した。
「もみ殻」に特化した小型ガス化発電システムは国内で初めてという。
もみ殻は国内で年間約200万t排出されるが、適切な処理を行わないと有害物質である結晶質シリカが発生する恐れがある。
もみ殻の処理方法として野焼きは現在禁止されており、たい肥などに一部利用されるものの、エネルギー源としては活用されていなかった。
もみ殻ガス化発電システムは、特許技術により有害物質を発生させずにもみ殻を処理できる。燃焼後に発生する副産物「くん炭」は無害で、保水性の改善や土壌微生物の活性化などの土壌改良効果や肥料効果のある可溶ケイ酸やカリウムを含有する。
無農薬・減農薬の有機栽培米を生産するフクハラファーム(滋賀県彦根市)に同システムを8月28日に設置し、本格的に発電を開始した。出力は15kWで、年間7万5000kWhの発電量を計画する。
フクハラファームでは、毎年約200tのもみ殻を処理している。同システムを導入することで、農場規模拡大に伴うもみ殻処理問題を解決し、発電した電力の自家消費や、くん炭の農地への還元などにより資源循環型農業に取り組み。