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「世界のエネルギーシステムには深刻な格差」、IEAの報告書

2019/11/20 13:45
大場 淳一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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 国際エネルギー機関(IEA)は11月13日、世界のエネルギーシステムにおいて現在、深刻な格差や不均衡といった問題が存在するとの見解を発表した。

 IEAが刊行した年次調査報告書「世界エネルギー見通し(World Energy Outlook: WEO) 2019」によるもの(関連記事)(図1)。

図1●WEO2019の表紙
(出所:IEA)
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 IEAは今回発表したWEO2019においてエネルギーの不均衡に関連する具体的な問題として、(1)原油の供給が十分な地域がある一方で地政学的な緊張や不確実性がある地域があること、(2)増加し続ける温室効果ガス排出量とそれに対処し気候変動対策の目標に沿って排出量を抑制するための具体的な政策が不足していること、(3)人類全体に対するエネルギーアクセスという公約に対して依然世界の8億5000万人が未電化の状態にあることなどを挙げている。

 同報告書ではこれまでと同様の構成を踏襲しており、将来起きることを予想するものではなく、起こり得る可能性のある事象を複数のシナリオに基づいて分析している。具体的には、「現行政策シナリオ」、「公開政策シナリオ」、「持続可能開発シナリオ」の3つである。

 現行政策シナリオでは、現在策定されている政策の下で、何の変化も生じなかった場合に想定される将来を分析している。同シナリオでは、2040年までにエネルギー需要は毎年1.3%ずつ増加し、エネルギー市場全体における緊張やエネルギー由来の温室効果ガス排出量の増大などを引き起こすとしている。

 公開政策シナリオでは、現在の政策の意図や目標を既存の制度や施策と統合し分析している。これまでのWEOでは同シナリオを「新政策シナリオ」と呼んでいたが、現時点で既に公開されている特定の政策による影響や効果を明確に示すために名称を変更したという。

 同シナリオでは、2040年までにエネルギー需要は毎年1.0%ずつ増加する。この間のエネルギー需要増分の過半を太陽光発電などの低炭素型の電源が、また3分の1を液化天然ガス(LNG)の取引増加に伴って天然ガスが供給すると見込む(図2、図3)。

図2●WEO2019の「公開政策シナリオ」における世界全体のエネルギー需要の見通し
(出所:IEA)
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図3●WEO2019の「公開政策シナリオ」における電源別の設備容量の見通し
(出所:IEA)
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 温室効果ガス排出量の増加は緩やかとなるものの、2040年までにピークを打つことはなく、持続可能性の目標達成にはほど遠いとする。その結果、気候変動による深刻な影響が不可避という。

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