国連環境計画(UNEP)は11月26日、「パリ協定」で定めている1.5℃以内の気温上昇という目標を達成するためには、今後10年間にわたって世界全体で温室効果ガス排出量を毎年7.6%ずつ削減する必要があるとの調査結果を発表した(関連記事1)。
UNEPが毎年刊行している年次報告書「温室効果ガス排出ギャップ報告書」の2019年版によるもの(図1)。12月2~13日にスペイン・マドリッドで開催される「国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)」に向けたものとみられる。
同報告書では、将来のある時点で見込まれる温室効果ガス排出量と、2℃または1.5℃といった気温上昇範囲の目標値を達成するために必要な温室効果ガス排出量を算出することにより、予想される排出量のギャップやそのギャップを解消するために必要となるアクションなどを詳細に分析している。
G20諸国は全排出量のうち78%を占めて気温上昇に大きな影響を与えるが、正味の温室効果ガス排出量をゼロにするという期限を公約したのは欧州連合(EU)など5カ国だけで、他の15カ国は何の公約も掲げていない。
その結果、主要国による温室効果ガス排出量は全体での総和が現在も年々増加し続けている(図2)。