FIP導入時、買い手のない再エネに「ラストリゾート」

低圧野立て太陽光のFIT除外に伴う「経過措置」は検討課題

2019/12/13 15:31
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

 経済産業省は12月12日、固定価格買取制度(FIT)の抜本的な見直しなどを検討する「再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会」の第5回の会合を開催し、これまでの議論を踏まえた「中間とりまとめ(案)」を公表した。

 その中で、電力市場での取引が困難な小規模な再生可能エネルギー事業者が、一時的に買い手がなくなる「オフテイカーリスク」への対策を講じることが盛り込まれた。

 FIT後に導入が予定されているフィード・イン・プレミアム(FIP)の運用下では、一般送配電事業者の買取義務がなくなるため、再エネ事業者は、自ら電気の売り先を見つけて売電契約を結ぶ必要がある。ただ、売り先の倒産などで突然、買い手を失った場合、大規模再エネ事業者ならば電力市場を通じて売却できるが、小規模再エネ事業者は、市場取引が可能な出力量に達しないため、売り先のない状態に陥る可能性がある。

 そこで、こうした「オフテイカーリスク」対策として、系統運用者などが「ラストリゾート(最後の買い手)」として、買い手のない再エネ電気を引き取る仕組みを設ける。ただ、この際のkWhの価値は「十分に安くして、利用可能期間を設け、自動更新や延長は認めない」(経済産業省)とした。これにより、安易に「ラストリゾート」を活用するインセンティブを減らし、FIP導入の狙いである「市場との統合」を阻害しないとした。

FIP利用に伴うオフテイカーリスク対策の利用イメージ
(出所:経産省)
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経産省は低圧太陽光の「駆け込み」を警戒

 また、現在のFIT制度では再エネ事業者に「インバランス特例」が認められているが、将来的にFIP制度を利用した場合、この特例はなくなる。インバランス特例とは、通常の発電事業者が負う発電計画の作成とそれが外れた場合(インバランス)に発生するコスト(ペナルティ)を負わず、一般送配電事業者が発電量の予測を代行する仕組み。

 FIPを利用した場合、再エネ発電事業者は、自ら発電量を予測し、外れた場合にインバランスコストを負担することになる。しかし、太陽光や風力など天候に左右される再エネの発電量予測には高度なノウハウと経験が必要。そこで、「中間とりまとめ(案)」では、「再エネ発電事業者のインバランス負担軽減のための経過措置などを検討すべき」とした。

 このほか、FITの抜本見直しに伴う「経過措置」としては、2020年度からの導入が計画されている低圧事業用太陽光(10kW以上50kW未満)への地域活用要件の適用に関して、一部の委員から、「すでに土地や設備を手配済みの事業者も多いと考えられるため、何らかの激変緩和措置が必要ではないか」との意見も出ている。

 ただ、今回、経産省が低圧太陽光にだけ前倒しで自家消費要件を適用したのは、仕込み期間の短い低圧太陽光の特性を考慮し、制度移行前に大量の「駆け込み認定」が発生することを防ぎたい、との狙いがあったのも明らか。

 低圧案件の自家消費への移行、つまり事実上の「低圧野立て太陽光」のFITからの除外に伴う経過措置は、これまでFIT運用で何度か見られた「駆け込み認定」に警戒しつつ、その必要性に関して検討されることになりそうだ。