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「ゼロカーボン電力が化石燃料を凌駕」、英系統運用機関が発表

2020/01/07 12:08
大場 淳一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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 英国の系統運用機関であるナショナルグリッド(National Grid)は1月1日、温室効果ガスの支配的な成分である二酸化炭素がゼロの電力(ゼロカーボン電力)の量が2019年に化石燃料に基づく電力の量を初めて上回ったと発表した。

 英国は温室効果ガスの排出量を2050年までに1990年比で少なくとも100%低減することを公約している。2020年はちょうどその中間の年となることもあり、今回の結果が目標達成に向けた歴史的な節目になったとする。

 同社が公開したデータによると、英国内で風力、太陽光、原子力によって発電したゼロカーボン電力に加えて、海底ケーブルなどを経由して近隣の5カ国(注1)から融通した電力のうちのゼロカーボン分を加えたものが、2019年に全電力量の48.5%となった()。

注1)英国が現在、フランス、オランダ、ベルギー、北アイルランド、アイルランドの5カ国から海底の電力網などを通じて電力の融通を受けている。内訳はフランスが半分に近い約48%、オランダが約24%、ベルギーが約21%などとなっている。
図●英国における電源構成。左側は電源の内訳を、右側は融通分も含めた化石燃料、ゼロカーボン、バイオマス(廃棄物を含む)の内訳を示す
(出所:National Gridのデータを基に日経BP総研 クリーンテックラボが作成)
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 同年に化石燃料によって発電した電力量は43%だったため、ゼロカーボンが化石燃料を通年で上回る結果となった。

 1999年の時点では電源構成の75%となる化石燃料のほとんどを石炭が占めていたが、2019年には石炭は2%あまりと大幅に減少している。

 一方、化石燃料の大半が天然ガスで置換されると同時に、ほぼ倍増したゼロカーボン電力の増分のほとんどを風力、太陽光および水力による再生可能エネルギーが占めていることが見て取れる(注2)

注2)ナショナルグリッドが今回発表したデータでは、再生可能エネルギーに含まれることが一般的なバイオマス(廃棄物を含む)を「ゼロカーボンと化石燃料のどちらでもないエネルギー源」として扱っている。ゼロカーボン電力は、風力、水力、太陽光、原子力、蓄電池、地熱、波力、潮汐などを、化石燃料は石炭、ガス、石油などを含むとしている。

 風力、太陽光および水力は、1999年には2%あまりだったが、2019年の比率は26.5%と英国の電源構成の4分の1以上を占めるまで増加した(関連記事1)。

 同社は2019年12月、今後5年間で100億ポンドを電力網およびガス配管網のインフラに投資するという計画を発表している。温室効果ガス排出量を正味でゼロとするための機器や技術の導入などにより、同社グループの電力システムオペレーター(ESO)部門におけるエネルギー転換を支援するという。

 英国では今回の発表に先立って、約2年半前となる2017年4月に同国が24時間連続で石炭火力発電を稼働させない「石炭火力ゼロ」の日を18世紀の産業革命以降で初めて記録したことを同社が発表していた(関連記事2)。

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