ニュース

パナソニックがペロブスカイト太陽電池、大面積で効率16.09%

2020/01/21 18:35
工藤宗介=技術ライター
印刷用ページ
高変換効率を達成した大面積ペロブスカイト太陽電池
(出所:NEDO、パナソニック)
クリックすると拡大した画像が開きます

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とパナソニックは1月20日、大面積(開口面積802cm2:縦30×横30×厚さ2cm)のペロブスカイト太陽電池モジュールで変換効率16.09%を達成したと発表した。

 大面積に精細で均一な層材料の塗布が可能なインクジェット法を応用することで、大面積モジュールでの高変換効率化を実現したという。

 ペロブスカイト太陽電池は、発電層を含む厚さが結晶シリコン太陽電池の約100分の1と非常に薄く軽量化できるのが特徴で、ネット・ゼロ・エネルギービル(ZEB)に向けた建物壁面への設置や透明電極を用いて窓への適用など多様な設置形態が期待される。また、基板へ層材料を直接塗布するため、従来より安価に形成できる。これまで小面積セル(発電素子)では変換効率25.2%と結晶シリコンに匹敵する高効率を達成していたが、従来技術では大面積を均一に成膜することが困難で変換効率を大きく落としていた。

 パナソニックは今回、インクジェット塗布に適合した塗布液の組成を改善。ペロブスカイト結晶を構成する原子団のうち、加熱工程における熱安定性に課題のあるメチルアミンの一部を、分子または原子が適度に大きく加熱脱離抑制効果のあるホルムアミジニウム、セシウム、ルビジウムに置き換えることで結晶を安定化した。

 また、塗布液濃度を一定範囲で調整し、塗布工程における塗布量・速度を精密に抑制した。これらの技術を各塗布プロセスで最適化することで、ペロブスカイト膜の結晶成長を促進し、モジュール面内膜厚と結晶膜質の均質化の向上に成功した。その結果、大面積モジュールで高変換効率を実現した。

 NEDOが2015年度から取り組む「高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発」(事業名:高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発/革新的新構造太陽電池の研究開発/革新的低製造コスト太陽電池の研究開発)の一環で、パナソニックが委託を受けた。

 NEDOとパナソニックは今後、大面積ペロブスカイト太陽電池モジュールの更なる低コスト化、軽量化により、これまで設置・適用されていなかった新市場の創出に取り組む。結晶シリコン太陽電池に匹敵する高効率ペロブスカイト層材料の開発により、プロジェクトの最終目標であるモジュール生産コスト15円/Wを目指す。

  • 記事ランキング