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太陽光を「貯蔵」、名工大が「光充電可能な燃料電池」

2020/02/07 19:28
工藤宗介=技術ライター
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今回開発した蓄電池の構造模式図
(出所:名古屋工業大学)
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植物の光合成との比較
(出所:名古屋工業大学)
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 名古屋工業大学は1月24日、植物の光合成と類似の仕組みで化学反応を利用して発電・蓄電する「光充電可能な燃料電池」を開発したと発表した。従来の燃料電池は電気を蓄えられない「発電のみの装置」だったが、有機分子「AQDS-H2」を利用することで単一装置内での充電を可能にした。

 植物は、太陽光のエネルギーを用いてCO2を糖に変換して貯蔵(光合成)し、空気中の酸素で分解(呼吸)して化学エネルギーを取り出す。今回開発した蓄電池は、CO2をAQDS、糖をAQDS-H2に置き換えたシステムとみなすことができ、蓄電池内のAQDS-H2と空気の酸素が反応して生じるエネルギーを電気として外部に出力する。

 負極側の電解液には有機分子AQDSが溶け込んでおり、太陽光を照射すると電解液中の水素原子を引き抜いてAQDS-H2に変換され充電される。放電時は、負極ではAQDS-H2からAQDSへの変換反応が起こり、正極では空気中の酸素分子(O2)が水(H2O)に還元される。放電したAQDSは再び光照射でAQDS-H2に変換可能で、電池として何度でも繰り返し使用できる。

 この電池の放電過程は、AQDS-H2を燃料とした燃料電池反応とみなすことができ、水素を燃料とした一般的な燃料電池と比べて安全性が高いのが特徴。また、AQDSからAQDS-H2への変換は光照射のほか外部電源を用いた電気化学反応でも可能であり、スマートグリッドを構築して再生可能エネルギーで発電した電力の貯蔵にも活用できる。

 試作電池を用いた充放電実験で、蓄電池として動作することを実証した。一方、現時点の出力電力は0.5V程度であり、起電力の向上や反応過電圧の低減が技術課題となる。今後、負極活物質(AQDS)の改良やセル構造を最適化し、実用に向けた研究を加速させる。

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