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トヨタ、「エネルギー自立船」向け燃料電池、再エネで世界一周目指す

2020/02/11 11:28
工藤宗介=技術ライター
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エナジー・オブザーバー号
(出所:Energy Observer Productions - Antoine Drancey)
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燃料電池システム
(出所:トヨタ自動車)
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 トヨタ自動車とToyota Motor Europe(TME)は2月3日、再生可能エネルギーで世界一周航海を目指しているフランスの燃料電池船「エナジー・オブザーバー号」向けに、燃料電池システムを開発したと発表した。TMEは、トヨタの欧州事業を統括するグループ企業。

 エナジー・オブザーバー号は、太陽光・風力の再エネや海水から生成した水素を燃料に用いる、世界初の「自立エネルギー型燃料電池船」という。仏のヨットレーサーのビクトリアン・エルサール氏、探検家でドキュメンタリー作家のジェローム・ドラフォス氏がレース用ボートを改造した。

 2017年6月に母港の仏北部サン・マロ港を出航し、6年かけて50カ国101港に立ち寄りながら世界一周航海に挑戦している。これまで25カ国48港に寄港し、航海距離は約1万8000海里に達する。船体の長さ31.0×幅13.0m、重さは34t。遠洋航海時の定員は8人。

 今回、TMEテクニカルセンターが、トヨタの燃料電池自動車「MIRAI」の搭載部品を用いて、船舶用燃料電池システムの再設計から部品の製作、燃料電池システムの開発、船への搭載まで7カ月で実現したという。出力は114kW(エナジー・オブザーバー号での運用上の出力は40kWの予定)で、従来のエナジー・オブザーバー号と比べて高出力、高効率、高信頼性を実現したという。

 2019年末には、停泊中のエナジー・オブザーバー号で燃料電池システムを搭載して試験してきた。現在、2020年ツアーの出航を控え、海上で最終的な試験を行っている。2月にサン・マロ港を出航し、大西洋と太平洋を横断する予定。

 TMEは、「トヨタ環境チャレンジ2050」でトヨタが目指す「人とクルマと自然とが共生する社会」と、エナジー・オブザーバー号が目指すものが一致すると考え、航海開始時からオフィシャル・パートナーとして支援している。航海での実証を通じて、化石燃料から再エネへの置き換えの可能性を検討し、将来的に再エネを効率的かつ大規模に利用する仕組みを探っていくという。

 トヨタでは、MIRAIのほかバスやトラックなどにも燃料電池システムの搭載を進めている。今回の船舶への燃料電池システムの応用は、同社の燃料電池技術のさまざまな用途への高い汎用性を示す成果と説明している。

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