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再エネ利用に適したアンモニア合成触媒、名大が開発

2020/02/13 18:00
工藤宗介=技術ライター
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今回開発したRu/Ba/LaCeOx触媒の模式図
(出所:名古屋大学)
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球面収差補正走査透過電子顕微鏡(Cs-STEM)で観察した触媒の表面状態。ルテニウムナノ粒子が微細な酸化物の破片で覆われている
(出所:名古屋大学)
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アンモニア生成速度の比較
(出所:名古屋大学)
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 名古屋大学の研究グループは、再生可能エネルギーの利用に適した温和な条件下で極めて高いアンモニア合成活性(生成速度)を示す新型触媒を開発した。従来の高活性ルテニウム触媒のベンチマークと比較して、重量あたりで5倍のアンモニア生成速度を達成したという。1月23日に発表した。

 現在主流の工業的アンモニア合成プロセスでは、鉄を主成分とする触媒を用いて、450度および200気圧を上回る非常に高い温度と圧力下でアンモニアを合成している。これに対し、再エネ利用に適した小型の分散型プロセスでは、325~400度および10~100気圧の温和な条件でアンモニアを効率的に生産できる触媒開発が求められていた。

 研究グループは、これまでも希土類の酸化物にルテニウムを担持した高性能触媒の開発を進めてきた。今回発表したRu/Ba/LaCeOx触媒は、過去に開発したランタン-セリウム(La-Ce)の耐熱性複合酸化物にルテニウムを担持したRu/La0.5Ce0.5Ox触媒に、強塩基性元素であるバリウムを加え、従来より高温の700度で水素還元処理した。

 従来のアンモニア合成触媒の研究では、できるだけ低温で還元することで触媒の焼結を避けることが常識だった。今回開発した触媒は優れた耐熱性を持つため、より高温での還元処理でも焼結が起こらず、炭酸塩や水酸化物を完全に破壊してバリウムの優れた電子供与能を引き出すことに成功した。また、高温での還元処理により、ルテニウムナノ粒子が微細な酸化物の破片で覆われているという特殊な表面構造が形成されることを明らかにした。

 開発した触媒は、反応温度350度、空間速度72L gcat-1 h-1、反応圧力10気圧という、再エネ利用を想定した温和な条件でも非常に高いアンモニア生成速度を示した。触媒の原料であるルテニウム、バリウム、ランタン、セリウムは比較的安価で入手でき、工業的にも広く利用されている。また、簡便な手法で調整でき、大気中で安定なため取り扱いも容易という。

 アンモニアは化学肥料の原料として重要な化学物質であるほか、エネルギーキャリアとしても近年注目されている。再エネを利用したアンモニア生産プロセスが実現すれば、世界規模でのエネルギー問題、食糧問題の解決に寄与するとしている。また、今回の触媒設計を発展させることで、さらに高活性なアンモニア合成触媒が開発できると期待される。

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