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次世代太陽電池市場、2030年に急拡大、建材一体型で有望

2020/03/06 19:10
工藤宗介=技術ライター
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フランスの学校屋根上に設置された有機薄膜太陽電池
(出所:Heliatek)
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 富士経済(東京都中央区)は、既存太陽電池の発電性能を上回ると期待されるペロブスカイト(PSC)、色素増感(DSC)、有機薄膜(OPV)、ヒ化ガリウム(GaAs)といった次世代太陽電池の世界市場の調査結果を発表した。

 2019年における既存太陽電池の市場規模・4兆1730億円に対し、次世代型太陽電池市場は6億円が見込まれるという。この場合、既存太陽電池の市場規模には、結晶シリコン型のほか、CIS(CIGS)とCdTe系の化合物半導体型を含む。

 現状は事例が少ないが、研究開発や商用化が進めば既存太陽電池市場に与える影響は大きいと見られ、2030年には既存太陽電池市場の約10分の1となる4563億円まで成長すると予測する。今後、既存太陽電池の代替となるには、製造コストが20円/W台に突入した結晶シリコンや、より安価なコスト目標を掲げるCdTeとの競合は避けられず、価格競争力の向上が重要と指摘する。

 品目別では、色素増感は、約10年前には商用化されていたが、これまで核となる用途開拓が進んでいなかった。近年のIoTの進展に伴い通信・センサー用電源として採用が進みつつある。耐久性や発電性に優れ、屋内外の両方で一定の光量があれば常時発電可能という他の電源にない優位性があることから、今後の伸びが期待される。

 有機薄膜は、日本では研究開発の段階だが、世界的にはすでに商用化しているメーカーが数多く、主に建材一体型太陽電池(BIPV)として採用が進んでいる。結晶シリコンなど既存太陽電池と競合するが、半透明でも一定の発電量が得られ、既存太陽電池が不向きな壁面にも設置でき、高温・高緯度地域に向くなどの優位性から、世界的に普及が進むと予想される。

 ペロブスカイトは、既存太陽電池の主流である結晶シリコン太陽電池の発電性能を上回るとの期待から研究開発するメーカーが急増しており、特に中国と欧州のメーカーが先行する。耐久性と有害物質である鉛の使用に関して課題があり、短期的には量産・量販は困難とされる。一方、課題解決の進展次第では想定を上回る速度で普及する可能性もあるという。

 ヒ素ガリウムは、人工衛星などの宇宙用、砂漠・乾燥地に導入する集光型太陽光発電システム(CPV)で40年以上の実績がある。製造工程が複雑で高コスト、かつ有害物質を使用するため、2019年には商用販売したケースはないとみられる。しかし、変換効率が太陽電池の中で最高水準であり、面積あたりの出力が大きいことから、自動車や無人航空機(UAV)などの移動体用途での市場拡大が期待されるという。

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