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摂南大学、植物の葉緑体を利用した「光合成パネル」

2020/03/12 08:46
工藤宗介=技術ライター
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光バイオ燃料電池の概念図
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光合成ウオッチ
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光合成建築(森の別荘)の提案
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光合成建築(未来の駅)の提案
(出所:摂南大学)
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 摂南大学(大阪府寝屋川市)は、植物の葉緑体を利用した「光バイオ燃料電池」を開発した。光合成によって酸素、水素イオン、電子を生成させ、光を電気に変換する。

 光を利用して水を酸素と水素に完全分解する「光化学系II複合体(PS II)」を含む溶液を燃料に、魚の鱗など自然由来材料の電解質を組み合わせた。白金触媒を使用しなくても発電できる。PS IIは、植物の葉緑体に含まれるチラコイド膜から抽出でき、今回は、伐採木や野菜などの廃棄植物から抽出する。

 これまでの研究では、30mLのPS II溶液でデジタル時計やLEDランプを1カ月以上動作・点灯させることに成功した。概算すると、光合成パネル16m2から20Wの発電が可能で、ケヤキ1本分に相当する15.5分で1Lの酸素を発生させることが可能という。

 現在のところ、PS II溶液は劣化する(枯れる)ため長期間の稼働は難しく、一定期間ごとにPS II溶液を入れ替える必要がある。今後はPS II溶液内に含まれる成分を調整することで、より長期間の安定稼働を目指す。

 研究チームは、光バイオ電池を用いた住宅や駅舎などの建築を「光合成建築」として提案している。壁・屋根・床・窓といった建築エレメント自体が分散型の燃料電池として機能し、スマートフォンやパソコンなどの電気機器を各所で充電できる。

 「光合成パネル」は半透明で光を透過するため、木漏れ日のような緑光の内部空間と自然に溶け込む外観を創出する。また、パネル型、チューブ型、ボウル型など多様な形態とサイズに適用し、さまざまなエクステリアやインテリアに利用できる。

 摂南大学によると、光バイオ燃料電池は太陽光発電を代替する意図はないと説明している。エネルギーを得るために植物を植えるのではなく、人間側の都合で廃棄される「緑の残りもの」を「少しだけの電力」に活用するものであり、「小さなエネルギー」と「少しの酸素」を生成するための提案になるという。

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