ニュース

「ESG金融」調査、実績の大半は事業用太陽光

2020/04/08 14:13
工藤宗介=技術ライター
印刷用ページ
実績のほとんどが事業用太陽光発電だった
(出所:環境省)
クリックすると拡大した画像が開きます

 環境省は4月3日、地域の金融機関におけるESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した金融の取扱状況に関する調査結果を発表した。それによると、実績の大半は事業用太陽光への投融資であることが明らかになった。

 また、過半数の金融機関がSDGs(持続可能な開発目標)を経営課題とし、投融資方針の策定や仕組み作りの必要性を感じているが、具体的な体制整備は進んでいないという。

 パリ協定での合意事項やSDGsの実現には巨額の資金供給が必要とされ、公的資金だけでなく民間資金の動員が求められている。欧州を中心に国際的な金融市場では、気候変動リスクなどを含むESG要素を投融資判断に加えることがスタンダードになりつつあり、ESG投資が急拡大している。

 国内では間接金融による資金調達の割合が大きく、特に地域金融機関には、その地域における環境課題と経済・社会的課題の同時解決に向けた取り組みが期待される。今回、ESG金融の更なる拡大に向けて、間接金融の主体である都市銀行、地方銀行、信用金庫などを対象に、国内では初めてとなるESG金融の取り組み状況を調査した。

 調査期間は、アンケートが2019年9月4日~27日、ヒアリングが2019年11月~2020年1月。回答数は192件(回答率51.5%)。その内訳は、都市銀行・大手信託銀行・政府系金融機関が6件(同60.0%)、地方銀行が29件(同45.3%)、第二地方銀行が31件(同77.5%)、信用金庫が126件(同48.8%)だった。

 ESG要素を考慮した取り組みについては、56%が環境・社会の課題解決つながる案件組成に取り組んだと回答。主な内容としては、起業塾・ビジネスコンテスト、自治体・大学などとの連携、テーマ特化型ファンド、事業化推進、事業組成の伴走支援などが挙げられた。

 投融資の実績としては、89%が再生可能エネルギー事業向けの融資と回答した。その内訳(複数回答)は、事業用太陽光発電が99%、中小型バイオマス発電が27%、陸上風力発電が20%となり、ほとんどが事業用太陽光発電だった。

 組織としてのESG金融の取り組みとしては、92%がESG/SDGsを認識、75%が将来的な成長領域と認識し、52%がSDGsを経営課題として理解していると回答した。また、55%が投融資方針の必要性を、57%が仕組み作りの必要性を認識していた。

 その一方で、実際にESG要素に考慮した評価の仕組みを作ったのは6%にとどまった。具体的な体制整備についても、ESG/SDGsに取り組む部門を設置したのは12%、ESG/SDGs関連の案件組成のための担当者や専門部署を設置したのは26%、ESG/SDGs関連の評価(審査)のための担当者や専門部署を設置したのは8%と少数だった。

 ヒアリングでは、ESG要素評価の仕組み作りについて「審査結果や債務者区分に体系的に評価に反映させる方法がわからない」「環境へのインパクトなどを正確に把握するための知見がなく、評価やモニタリングができない」という意見が挙がった。体制整備では「人員や余力がない」「どの部署で何に取り組むべきかという差配ができないうえに、効率的に情報を収集できていない」という声が寄せられた。

 調査結果レポートでは、ESG金融を組織として実践するには「金融業務における理解の促進」「取り組む項目の明確化」「ノウハウの構築」「組織体制の整備」の4つの課題を解決することが必要としている。

  • 記事ランキング