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「光閉じ込め効果」で太陽電池の効率向上、山形大学

2020/04/20 23:17
工藤宗介=技術ライター
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今回作成したモスアイ構造の電子顕微鏡写真
(出所:山形大学)
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モスアイ構造による光閉じ込め効果
(出所:山形大学)
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 山形大学は4月8日、早稲田大学らとの共同研究により、有機薄膜太陽電池の発電層に効率よく光を閉じ込めるための光制御技術を開発したと発表した。ナノメートルオーダーの微小な円錐を並べた「モスアイ構造」を用いることで、従来比8.3%の大幅な発電効率の向上を実現した。

 有機薄膜太陽電池は、材料の電気的な特性上、光を電気に変換する発電層の厚さが約100nmと非常に薄くなる。一方、光は薄い発電層を容易に透過してしまうため、発電層に光を吸収させるための高度な光制御技術が必要になる。
 
 研究グループは今回、光のデバイス内の光の流れを解析するためのシミュレーション手法を開発。この技術を有機薄膜太陽電池の表面構造の設計に応用することで、入射した光を効率的に発電層に閉じ込めて吸収させるために最適な光制御構造を明らかにした。

 今回開発した光制御構造は、蛾の目の表面で観察されるナノ構造を模倣したものであり、モスアイ構造と呼ばれる。同構造を用いることで、入射光を斜めに曲げて繰り返し反射し発電層に閉じ込めることが可能になり、本来発電にあまり適さない波長の光も有効利用できる。

 モスアイ構造の作成には、ナノインプリントと呼ばれる加工法を使用した。同手法は、大面積のモスアイ構造を安価に構築することに適するため、将来的な産業応用にも向くという。今後、提案した手法をさらに改良し、実用化に向けた技術の確立を目指す。

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