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国内バイオマス発電市場、輸入系は鈍化も、矢野研

2020/04/28 13:38
工藤宗介=技術ライター
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国内バイオマスエネルギー市場の推移・予測
(出所:矢野経済研究所)
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 矢野経済研究所は4月24日、国内バイオマスエネルギー市場の調査結果を発表した。2012年度に開始された固定価格買取制度(FIT)によって急拡大したバイオマス発電設備が市場規模を押し上げており、2018年度の同市場の規模は4359億円と推計する。

 バイオマス発電では、FIT上、「一般木質・農作物残さ」に区分され、海外輸入のバイオマスを利用した発電事業で数十MWクラスの発電所が相次ぎ稼働している。また、国内未利用資源の有効活用や地域の産業振興に重きをおいた発電事業も展開されている。

 バイオマス熱(蒸気)の供給は、FITによる売電に依存しないビジネスモデルを目指す事業者に注目されている。バイオマス発電所によっては、発電と同時に園芸施設や藻類培養施設などの近隣施設に熱やCO2などの副産物を供給している。このほかにも、バイオマス由来の液体燃料が航空機分野などで注目を集めている。

 一方、バイオマス発電所の増加に伴い、バイオマス燃料の不足や価格上昇が懸念され、発電所の安定稼働や収益性のリスク要因となっている。その対策として、燃料の収集ネットワーク拡充や未利用資源の探索・活用、林業支援、森林資源に取り組む事業者が出てきている。

 また、パーム椰子殻(PKS)などの輸入燃料は、海上輸送に伴うエネルギー消費や輸出国での開発、エネルギーの地産地消の点から使用に対して慎重な見方が強まっている。中長期的には、輸入燃料を前提としたバイオマス発電所の新規開発の動きが鈍化する可能性がある。

 2019年度の同市場は、前の年度と比べ14.0%増の4968億円になる見込み。また、現在計画中や工事中のバイオマス発電所が稼働することで2021年度には6160億円規模に成長、2035年度には1兆987億円規模まで拡大すると予測する。

 すでに、出力10MW以上のバイオマス発電所を対象に入札制度に移行するなど、FIT制度の見直しが行われており、今後は新規開発が鈍化する可能性がある。その一方で、エネルギーの低炭素化や、国内未利用資源の有効利用、地域産業振興などへの寄与から、バイオマスへのニーズは根強いと考えられる。

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