環境先進企業がPPAでの再エネ調達に本腰、今年度中に案件組成

2020/05/11 17:33
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 温暖化対策に先進的に取り組む日本企業グループ、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)は5月7日、再生可能エネルギーの調達手段として、「コーポレートPPA」の導入を目指すとし、実現に向けたプロジェクトを発足したと発表した。

 「コーポレートPPA」とは、電力の大口需要家である企業が、再生可能エネルギー発電事業会社から直接、電気を調達するPPA(電力購入契約)を結ぶスキームで、海外では、温暖化対策に熱心な企業が採用するケースが目立っている(関連記事:蘭DSM、「再エネ75%」達成へ、米欧で大規模PPA)。

 多くの場合、電力需要家がメガソーラー(大規模太陽光発電所)や風力発電プロジェクトなどに出資したうえで、その案件からの電力をPPAスキームで長期間、買い取ることが多い。優良企業とのPPAによって事業リスクが減りプロジェクトファイナンスを組成できる。JCLPでは、こうしたスキームを「事業参加型コーポレートPPA」と呼び、「需要家と再エネ事業者が知恵と工夫を重ねて競争力のある再エネを導入することで、固定価格買取制度(FIT)からの自立を促し、再エネの主力電源化に貢献できる」と見ている。

「事業参加型コーポレートPPA」のスキーム図
(出所:JCLP)
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FIPよりもPPAに期待

 JCLPでは、「コーポレートPPA組成プロジェクト」を発足し、コーポレートPPAに関する制度・政策への提言を行うとともに、コーポレートPPAの組成を支援する。具体的には、2020年度上半期に電源開発プロジェクトを募集し、下半期には組成したコーポレートPPAの実施状況を検証して改善に取り組むとしている。

 国内では、FITの抜本見直しによって、早ければ2021年度からフィード・イン・プレミアム(FIP)と呼ばれる市場連動型の支援制度に移行する。こうした政策変更は、世界的な流れだが、海外では、メガソーラーや風力の発電コストが下がり、FIPを使わずに、「コーポレートPPA」により、需要家と連携した再エネ開発が主流になりつつある。

   2019年12月に発足した、再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)でも、こうした流れを見通し、会員間で、コーポレートPPAの勉強会をはじめる準備を進めている。REASPの眞邉勝仁会長によると、「PPAモデルの再エネ市場が立ち上がるためには、コスト削減と並行して、契約内容が標準化されることが必要」という。

 このためREASPでは、弁護士を招いて契約内容を検討したり、先行する海外の発電事業者や金融機関に自国の例を解説してもらうなどの活動に取り組む(関連記事:「再エネはFIT後にまた盛り返す」、再エネ長期安定電源推進協会・眞邉会長に聞く)。

 現時点での国内法制度では、電力需要家が直接、独立発電事業者(IPP)から電力を調達することはできない。今後、JCLPやREASPでは、まずこうした国内制度の課題などに関して提言を行っていくと見られる。

 ただ、現状の制度の中で、すでにコーポレートPPAの萌芽は見られる。

 丸井グループのマルイファシリティーズ(東京都中野区)は、4月1日から再エネを中心とした電力を供給する電気小売事業を開始した。丸井グループが運営する百貨店などへ再エネ電力を供給する。これは、需要家が電気小売事業会社を設立することで、事実上、発電所から直接、電力を調達する形になる(関連記事:丸井グループが電力小売り、再エネ電気を事実上、直接調達)。