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ブルネイから輸送した水素で火力発電、MCHから分離

2020/05/29 18:48
工藤宗介=技術ライター
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東亜石油・京浜製油所内の脱水素プラント
(出所:AHEAD)
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MCHを水素キャリアにした国際水素サプライチェーンのイメージ
(出所:AHEAD)
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 次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD)は5月26日、ブルネイ・ダルサラームからメチルシクロヘキサン(MCH)を輸送し、東亜石油・京浜製油所(川崎市)内の脱水素プラントで分離した水素を、同製油所内にある水江発電所のガスタービン発電機向けに供給を開始したと発表した。

 ガスタービン発電設備の出力は79.3MWで、燃料の一部にMCHから分離した水素を使用する。同発電所は、ガスタービン発電機のほかにも出力194.89MWのボイラータービン発電機を所有しており、発電した電力は東京電力エナジーパートナーおよび出光興産に売電するほか、約1割程度を京浜製油所内で自家消費する。

 AHEADでは、ブルネイでのMCH生成、海上輸送、日本でのMCHからの水素の分離という、MCHを水素キャリアとした国際間水素サプライチェーンの構築を目指している。今回の「海外から輸送した水素による電力供給」の達成により、国際間水素サプライチェーン商用化の実現に一歩近づいた。

 2015年に開始した「有機ケミカルハイドライド法による未利用エネルギー由来水素サプライチェーン実証」事業の一環で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けた。AHEADは、同実証事業を推進するために、千代田化工建設、三菱商事、三井物産、日本郵船が2017年8月に設立した。

 経済産業省が2019年3月に策定した水素・燃料電池戦略ロードマップでは、再生可能エネルギー電源への移行とともに、海外の再エネ由来水素や褐炭由来水素にCCS(CO2回収貯留)を合わせることで得たCO2フリー水素を使った水素発電が脱炭素化に向けた有力な方策と位置付けている。また、2030年までの行動計画である水素基本戦略や第5次エネルギー基本計画では、2030年に水素発電の商用化を実現すると記載している。

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